「ストリートビュー」に批判相次ぐ キスシーンやラブホ画像次々削除グーグルが展開している「Street View(ストリートビュー)」機能について、「見えすぎ」と批判されていた画像が次々と削除されはじめた。東京や大阪など12都市の主要道路のあらゆる地点で360度の風景の写真を閲覧できるサービスだが、写真に偶然写りこんでいる変な光景などが話題になり、「見えすぎ」「プライバシーの侵害」という批判も相次いでいる。 「プライバシーの侵害だ」「気持ち悪い」「ストリートビュー」の「変な写真」が次々と削除されている 「日本の都市部の生活道路は生活空間の一部で、他人の生活空間を撮影するのは無礼です」 こうブログで痛烈に批判したのはマーケッターでネットビジネス起業家の樋口理さんだ。樋口さんは、「公道からの風景だから公開を前提としているはずだ」ではなく、「公道を通る者はその鼻先の生活空間はのぞき込んではいけない」というのが日本の都市生活者のモラルだとして、グーグルが直ちにこのサービスを止めるよう訴えている。 有名ブログ「きっこの日記」の作者のきっこさんは、パチンコ屋の開店前に店先に並ぶ自身の姿を「ストリービュー」で発見したとして、「まあ、横向いてて顔が分かんないからいいけど、知り合いが見たら、絶対にあたしだって分かっちゃうよ」「あまりにもプライバシーを侵害しまくってる」などと述べ、「単なるネット上の無料サービスが、こんなにも個人のプライバシーを侵害するようなことをして問題にならないんだろうか」と疑問を呈している。 ネット上では、「プライバシーの侵害だ」「気持ち悪い」など、「便利すぎる」このサービスに批判的な意見が目立つようになってきており、マスメディアも「プライバシー」の問題や「危険性」について指摘している。 「ストリートビュー」は、グーグルが提供する地図サービス「Googleマップ」の新しい機能で、札幌・小樽・函館・仙台・東京・埼玉・千葉・横浜・鎌倉・京都・大阪・神戸の12都市の公道からの光景を見ることができるというもの。衛星写真の表示時に「ストリートビュー」ボタンを押すと、道路からの写真を見ることができ、ユーザーが360度回転させたり、上下に動かしたりして、建物を見渡したり、写真を拡大することもできる。 「ストリートビュー」日本版の公開後、男子高校生が女子高生の胸に手を当て、キスしていると思われる写真、中年男性が立小便をしていると思しき写真、ラブホテルに入る男女の写真までもが「公道からの風景」ということで閲覧できる状態になっており、ネット上で大きな話題になっていた。 法規制などすると規制による副作用が生じる「ストリートビュー」機能には、識別可能な人の顔やクルマのナンバープレートをぼかす技術が用いられているほか、ユーザーが不適切と判断した写真については、削除対象として警告することができる。こうした警告もあってか、キスシーンや立ち小便の写真をはじめ、風俗店の写真、ラブホテルの入り口の写真などが相次いで削除されており、公道からの連続した風景に継ぎ目が生まれ始めている。グーグルは現在までに、不適切な画像の「警告」「削除要請」などの報告について、その数を明らかにしていない。J-CASTニュースは同社に取材を試みたが、「ストリートビュー」の担当者は「取材が殺到したということもあってお休みを頂いている」とのことだった。 経済学者の池田信夫さんは、J-CASTニュースに対して「気持ち悪いというユーザーの気持ちは理解できる」としながらも、法規制などしたら規制による副作用が生じる、と指摘している。 「『気持ち悪い』という拒否反応は法律で保護すべき利益ではない。便利だとプラス評価する人が多くいて、なかにはマイナス評価をする人がいる。グーグルはこのマイナス評価の人に対して、(画像を削除するなどして)対処することでサービスを維持している。全部止めてしまえというのは筋が違うし、新しいサービスに文句を言う人がいるからと言って規制するのは『過剰コンプライアンス』で、日本社会や日本のインターネット社会の発展にとっても良くない」
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