オリンピックの開会式とまさに同じ日に始まった、ロシアとグルジアとの軍事衝突。ロシアではオリンピック初日は軍事介入の日と重なったため、国内では開会式の映像がまったく放送されず、紛争関連のニュース一色でした。一方、グルジアの選手団は北京オリンピックからの撤退も一時検討するほどでした。停戦に向けた本格化していますが、未だに戦闘は続いています。
グルジアからの分離・独立を目指す南オセチア自治州を巡り、衝突するロシア軍とグルジア軍。黒海では、ロシアの艦船が接近してきたグルジアのミサイル艇を撃沈。11日になっても、両軍の交戦は依然として続いています。
また、アメリカのブッシュ大統領は北京オリンピック関連の番組に出演し、停戦を強く求めました。
「ロシアの過剰反応を深く懸念し、南オセチア以外の地域への爆撃を強く非難する」(ブッシュ大統領)
一方で10日にはこんなニュースも。北京オリンピックの射撃の表彰台。グルジア初となる銅メダルを獲得した選手が、銀メダリストのロシア選手に歩み寄り、2人は抱き合いました。
戦闘が始まったため、オリンピック撤退を検討していたグルジア選手団。競技参加が決まった直後にメダルを獲得したグルジア選手は、「何事も私たちの友情は壊せない」と語りました。
黒海に面し、ワインの産地としても知られるグルジア。ロシアの南に位置し、1991年に4月に旧ソ連から独立しました。
しかし、国内に火種が残りました。それが南オセチア自治州。住民の大半はロシア系で、グルジアからの独立を目指し度々衝突してきました。今回、グルジアが南オセチア自治州に攻め入った背景には何があるのでしょうか。
Q.グルジアが進攻した背景は?
「グルジア国内の経済状況、貧富の差が広がっている。この状況を外に向けるため南オセチア、その先にあるロシアとの関係をあえて悪化させる方向に踏み込んだ」(ロシア・グルジア情勢に詳しい畔蒜泰助氏)
ロシア系住民が多い南オセチア自治州を見捨てられないロシアは、すぐさま反応しました。
Q.ロシアが介入した理由は?
「非常に不安定な地域なんです。(ロシア内の)独立意識に火をつけかねないということを懸念している。ロシア国民は守りますと(というメッセージ)」(畔蒜泰助氏)
そして、ロシアとグルジアの決定的に悪化した背景には、NATO=北大西洋条約機構が東の方に拡大していることがあります。
「グルジアとしては、1日も早くNATO加盟したい。ロシアはそれを阻止したい。(NATOが)新しい加盟国受け入れるには、その国が内戦抱えてはいけないという条項がある。(ロシアにとっては)現状維持であれば、グルジアのNATO加盟に障害も残り続けると」(畔蒜泰助氏)
現地では戦闘状態が続いていますが、フランスなどが和平工作を本格化させています。グルジアのサカシビリ大統領は11日、フランスのクシュネル外相の立会いの下、一方的に停戦することを命じる文書に署名しました。
クシュネル外相は11日夕方にもモスクワを訪問し、この文書をロシア側に提示し、ロシア軍の即時停戦を求めるものとみられます。
しかし、ロシア側は和平交渉開始の条件として、グルジア軍の南オセチアからの即時撤退と、今後の武力行使を禁じる協定の締結を求めていて、即時停戦につながるかどうかは不透明な状態です。(11日23:48)