グルジア情勢:米国が育てたグルジア軍とロシアの闘い

2008年8月11日(月)11:47
  • WIRED VISION

Nathan Hodge

グルジア共和国とロシアが戦争状態に突入している

グルジアは今年5月ころから、アブハジア自治共和国内部でグルジアからの分離独立を唱える領域と、無人偵察機に関しての小競り合いを起こしてきたが、8月8日(現地時間)には、同じくグルジアからの独立を求める、南オセチア自治州内部の領域に対する軍事行動を開始した。

グルジア軍は、南オセチア自治州の州都であるツヒンバリを包囲したが、分離独立派を支持してきたロシアは、この地およびアブハジア自治共和国のKodori Gorge(グルジアの影響力が強い)に派兵。さらに、グルジアの首都トビリシや空港(空軍施設)を爆撃したほか、黒海にある石油パイプラインも攻撃したと伝えられている。グルジアは10日、ツヒンバリから撤退し、停戦を呼びかけたが、ロシアは撤退していない。

Jamestown Foundationの記事は、今回の軍事衝突が起こるまで、この地で小競り合いが何度も起こっていたことを伝えている[7月3日には南オセチアで、グルジアの影響力が強い暫定政権のトップDmitry Sanakoyev暗殺未遂事件のほか、グルジア警察に対する爆破事件。7月半ばからは、ロシアの影響下にあるオセチア兵が、グルジアの影響下にある村を攻撃し、グルジア警察が反撃するという事件が何度か起こっていた]。

ロシアは、この地域の分離独立派を支持することで緊張を高めてきたが、一方で米国も、今回の戦争に関して公平な監視役にはなれない。米国軍は何年もの間、グルジア軍の訓練や装備に協力してきたのだ。

米国政府は2002年の初めから、グルジアに対して、軍事面で莫大な額の支援を提供してきた。米国からグルジアへの支援はまず、『Georgia Train and Equip』(グルジアの訓練・装備)計画という名目で始まり(これは表向き、パンキシ渓谷にいるアルカイダ勢力に対抗するためのものと言われた)、その後は『Sustainment and Stability Operations』(維持と安定の作戦)計画へと引き継がれた。

グルジアは、米国への恩返しとばかりに、イラク戦争では多国籍軍に数千人規模の兵士を参加させた。グルジアは2007年秋に派兵を倍増し、その結果、多国籍軍を構成する各国部隊の中で3番目に多い兵士をこの地域に送り込んでいる。人口460万人の国にとっては、ひとかたならぬ貢献と言えるだろう。

私が2002年秋に初めてグルジアのKrtsanisiにある軍訓練センターに行ったとき、グルジア軍はほとんど民兵と同じような状態で、スニーカーをはき、旧ソ連の制服を着ていた。

しかし、私が2006年のはじめにKrtsanisiを再訪したときには、ここはモデル基地となっていた。最新式の食堂もあり、兵たちは米国式の制服をスマートに着こなしていた(彼らはイラクに向かう兵だった)。

このときは南オセチアも訪れたのだが、ツヒンバリの外れの検問所にいたグルジア軍兵士たちは、米陸軍の余り物の制服の上に、新しいボディアーマーを身にまとっていた。

ロシアからの干渉の是非は別として、グルジアは、新たに手に入れた軍事力を使って、国内紛争を武力で解決しようという誘惑に駆られたのではないかと懸念される。

アブハジア自治共和国のSergei Shamba外務大臣は2006年、私にこう話した。「グルジア人は幸運だ。優れた装備を持ち、イラクでの戦闘経験を通じて、兵士もよく訓練されている。この事実が、失地奪還ムードの高まりに強く影響している……グルジア全体に武器が溢れている時に、さらに、トビリシからツヒンバリまでは戦車でたった1時間しかかからないというのに、どうして南オセチアが武装解除できるというのか?」

米国の軍事訓練の専門家の1人は、もっとぶっきらぼうな形で私にこう語った。「われわれは彼らにナイフを与えている。彼らはそれを使うだろうか?」

なお、グルジア政府関連の複数のウェブサイトは数週間前から、ロシアのハッカーからと見られるDOS攻撃を受けてきたが、軍事衝突が起きて以来、DOS攻撃は激化している。『Washington Post』が伝えるところによると、グルジアの商業ネットサーバーの中心である『Caucasus Network Tbilisi』は現在、ユーザーに対応できていないという。

[この記事は、ワイアード・ブログ『Danger Room』の複数の記事を統合しています]

WIRED NEWS 原文(English)




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