刑務所出所者の就職を支援するため法務省は年度内に、地元経済団体や企業が参加する就労支援の協議会を全都道府県に設置することを決めた。出所後の再犯率が高い無職者を減らす方策で、再犯防止に向け産業界と連携する初の試みとなる。
法務省保護局によると、出所者の更生を指導する全国の保護観察所が把握している協力雇用主は6556社(4月1日現在)で、2年前から約800社増えた。しかし51%を占める建設業は短期・臨時の求人が目立ち、不安定な雇用になる場合が多いという。
各地に設置される「刑務所出所者等就労支援推進協議会」は、保護観察所のほか地元の商工会連合会や経営者協会などの経済団体、主要企業などで構成する。これまで保護観察所職員らが企業訪問などで得ていた求人情報を、経済団体の協力で幅広い業種に拡大し、安定就労の場を獲得する。既に5月に広島県で設置された。
保護観察期間中の再犯率(06年)は有職者の7.6%に対し、無職者は40.4%と5.3倍に上る。求職しても就職できない出所者が年に約9000人いるとされ、同省は無職者の解消が再犯防止に不可欠としている。【石川淳一】
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