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平和を創る 自衛隊不要、国民に税使え
弁護士 高野孝治
大きな気象変動が迫り、世界には九億人もの飢餓人口がいる。日本には生活保護水準に達しない勤労者が千百万人もおり、国は巨大な財政赤字を抱え、年金支払いすら困難な状態にある。
そこで、今こそ自衛隊を解散し、災害救助隊を創(つく)るべきだと、わたしは考える。
災害救助隊は、国内はもとより外国の災害にも対応する、平和的な専門部隊だ。建造物と環境を破壊し、人々を殺傷する爆弾・ミサイル・軍艦・戦闘機などを捨てて、食糧と医療、輸送などの災害救助に必要なものを完備し、災害に苦しんでいる人々を救助するのだ。
そうすれば、どんなにか国内外の人々に喜ばれるか。日本人はいい人たちだ、日本は良い国だと、称賛され感謝されることだろう。日本と仲よくしたいという人々は増えても、日本を敵国とする人々は少なくなるだろう。本当の安全保障とは、そんなものでしょう。
大切なことは、人々が平和な環境で安心して暮らせることだ。国民が平和に安心して暮らせる環境にある、これは成功した政治だ。国民が欠乏と不安、将来を見通せない環境にある、これは失敗した政治である。
平和な環境を守るために国はどうしたらよいか。意見は大きく二つに分かれる。あるグループは、戦力を増強し、相手を威嚇あるいは攻撃することが必要と言う。この代表見本がアメリカのブッシュ戦略だ。ブッシュ大統領はテロとの戦いだといって、アフガニスタンやイラクを攻撃し、大戦争を起こした。日本にも小泉元首相をはじめ、同調し応援した政治家、財界人、文化人は多い。
それで、平和になったのか。テロの危険はなくなったのか。とんでもない。世界中にテロを誘発し、イラク・アフガニスタンはモーレツなテロの嵐に見舞われている。日本も参戦(自衛隊派遣)したから、以前よりはよっぽど危険になった。
イラク戦争では、イラク人に十五万人(六十五万人との報告もある)の死者、国外流出難民二百万人、国内難民百七十万人もの犠牲者を出した、と伝えられている。これがブッシュ戦略の結果だ。
戦争はさらに国家の財政、ひいては国民の家計をも破壊する。日本の国家財政危機の大きな要因が、年間五兆円に上る膨大な軍事費負担にあることは間違いない。五兆円は税収の約10%に達する。
自衛隊は、世界でも有数な高額兵器、例えば一隻千三百億円もするというイージス艦を六隻も持っている。こんな装備をしている国は米国を除くと他には例がない。非人道的無差別大量殺人兵器といわれ、一般市民、多くの子どもたちが犠牲になっているといわれるクラスター爆弾すら購入している。こんなものが日本の安全のために必要であることは百パーセントあり得ない。
米軍には日本の土地と空を返してもらおう。米軍は日本を守ってくれているのではない。米軍はいつだって自分たちのやりたい戦争を起こし、そのために日本の基地とお金を利用してきたにすぎないからだ。日本政府が米軍に提供している「おもいやり予算」だけでも年二千億円、これは米軍一人につき千三百万円の支出になる。アメリカは米軍再編との理由で日本にさらなる負担を要求している。アメリカは自国さえよければ日本の財政などはどうでもよいのだ。
「平和を創る」。ブッシュ戦略とまったく別の考え方がある。いかなることがあっても戦争だけはしない、戦争しないから戦力は不要だ。戦力の代わりに、共存共栄、対話と協調、相互援助、政治道徳に基づいた対等な国際関係を創る。それが戦争を回避し、平和を創る最良の方法という考えだ。
実はこれが、日本国憲法の考え方だ。日本国憲法は、国や政府が戦争することを認めない。武力で威嚇することも認めない。戦力を持つことを認めない。日本国憲法は、全世界の人々が恐怖(環境破壊の恐怖、爆弾により殺されるかもしれない恐怖を含む)と欠乏(貧困、食糧不足、医療欠如を含む)から免れなければならない。日本国民はそのために全力をあげると宣言している。
年間三万人を超える自殺者があるこの国で、国は国民が生きるためにこそ、税金を使うべきだ。自衛隊を解散すれば、年間五兆円もの軍事費が浮く。国民の福祉・教育・医療・年金などに、より多くの税金を使うことができ、その一部を使った災害救助隊が世界中で活躍すれば、すばらしいことではないだろうか。
……………………………………
たかの・こうじ 島根県出身。一九七一年松江市で法律事務所開設。島根県弁護士会憲法委員会委員長。
('08/08/11
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