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全巻の構成
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◆校注者 日野龍夫(京都大学) 小林 勇(神戸親和女子大学) 高木 元(千葉大学) |
◆収録作品 『東京新繁昌記(抄)』服部撫松 『西京伝新記』菊池三渓 『怪化百物語』高畠藍泉 |
自在な漢文体で世相を映し出して好評を博した明治の「繁昌記物」2編と,文明開化の に大言壮語する輩を化物たちの跋扈にみたてて戯画化した1編.色めき立つ新旧の都に向けたまなざしに,激動の時代への違和や皮肉の思いがにじむ. |
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◆校注者 揖斐 高(成蹊大学) 宮崎修多(成城大学) 杉下元明(東海大学) 入谷仙介 山本芳明(学習院大学) 日野龍夫(京都大学) |
◆収録作品 『敬宇詩集(抄)』中村敬宇(正直) 『恕軒文鈔・遺稿(抄)』信夫恕軒 『逍遥遺稿(抄)』中野逍遥 『春濤詩鈔(抄)』森春濤 『新編柳北文集』成島柳北 |
| 江戸時代二百数十年を通じて教養の基盤であった漢詩文は,維新の変革以後も様々な新しい事象や思いを表現する器であった.旧幕臣で新時代の啓蒙思想家となった中村敬宇,文人的雰囲気を保った漢学者信夫恕軒,悲恋の詩を残し早世した中野逍遥,繊細華麗な詩風の森春濤,ジャーナリストとして活躍した成島柳北らの漢詩を収録. |
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◆校注者 池澤一郎(明治大学) 宮崎修多(成城大学) 徳田 武(明治大学) ロバート・キャンベル(東京大学) |
◆収録作品 『本朝虞初新誌(抄)』菊池三渓 『譚海(抄)』依田学海 『情天比翼縁』三木愛花 『夜窓鬼談(抄)』石川鴻斎 |
| 漢詩文は江戸時代を通じて国民文学ともいってよいほどの広がりを示した.その長い伝統により培われてきた言語感覚は新時代になっても生き続け,依然として漢文体での表現が理解されやすかった.本巻は,義盗木鼠長吉,毒婦高橋お伝などの人物伝を集めた『本朝虞初新誌』など,広く読まれた漢文による怪談・奇談を収める. |
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◆校注者 久保田啓一(広島大学)
櫻井武次郎(神戸親和女子大学) 倉田喜弘 |
◆収録作品 『明治開化和歌集(抄)』佐々木弘綱 『俳諧開化集』西谷富永 「歌謡」(はやり唄,落書,どどいつ,かぞえ歌,書生節,くどき節) 「音曲」(長唄,常磐津,清元,義太夫,薩摩琵琶,箏曲) |
| 文明開化の新潮流は,雅俗をとわず韻文や口唱文芸をも刺激した.新しい事物を題材に取り入れた和歌・俳諧集と,漢語・外国語や戊辰戦争・民権運動など明治の風俗・政治状況が盛り込まれた歌謡などを収録.人びとが新時代をどのようにとらえていたかがよくうかがえる. |
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◆校注者 松田 清(京都大学) ロバート・キャンベル(東京大学) 日野龍夫(京都大学) 山崎一穎(跡見学園女子大学) 斎藤希史(国文学研究資料館) |
◆収録作品 『暁窓追録(抄)』栗本鋤雲 『米欧回覧実記(抄)』久米邦武編 『航西日乗(抄)』成島柳北 『漫遊記程 下(抄)』中井桜州 『航西日記』森 外 『北京紀行・上海通信・天津通信・訪事日録(抄)』森田思軒 |
| 海外紀行の体験とその記録は,明治期ジャーナリズムの確立と連動して,近代世界における国際情勢の認識や文明観の形成をうながし,あるいは文芸表現への影響においても重要な意味をもった.瓦解直前の幕府や明治新政府による遣外使節,外遊や報道のための特派など,明治初期の知識人による見聞録を収録. |
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◆校注者 延広真治(帝京大学) |
◆収録作品 『真景累ヶ淵』三遊亭円朝 『鼻毛』三遊亭円遊 『雁風呂』談洲楼燕枝 『しの字嫌い』三代柳家小さん |
| 速記術の確立によって話芸の活字化が可能となり,大衆娯楽としての新しい側面を開いた明治の落語.怪談咄・人情咄を完成し,一世を風靡した円朝の創作咄から,円朝とともに明治落語界をリードした燕枝,ステテコ踊りなど滑稽落語を確立した円遊,漱石をして「天才」と言わしめた小さんまで4作. |
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◆校注者 延広真治(帝京大学) |
◆収録作品 『天保六花撰』松林伯円 『仇娘好八丈』春錦亭柳桜 『寛永名士馬術誉』桃川如燕 |
| 天保期から維新前後にかけて危機に瀕した講談は,明治前期から再び盛り返し,「講談速記本」の出現によって一大ブームを起こす.白浪物を得意とし,泥棒伯円の異名をとった松林伯円の『天保六花撰』は,黙阿弥の劇化で人気を博した.その他,江戸以来の名人の手になる作品を収録. |
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◆校注者 原 道生(明治大学) 神山 彰(明治大学) 渡辺喜之(法政大学) |
◆収録作品 『島鵆月白浪』 『人間万事金世中』 『風船乗評判高楼』 |
| 幕府に抑圧されていた江戸歌舞伎から,政府の演劇改良運動に干渉される明治歌舞伎へ――歌舞伎の近世から近代を生きた最後の狂言作者・黙阿弥(新七)の「散切もの」の代表作や,リットン原作『マネー』の翻案劇など,3作品を収録. |
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◆校注者 須田千里(京都大学) 岩田秀行(跡見学園女子大学) |
◆収録作品 『青楼半化通』万亭応賀 『巷説児手柏』高畠藍泉 『高橋於伝夜叉譚』仮名垣魯文 『沢村田之助曙草紙』岡本起泉 |
| 維新による読者の喪失や開化期新風潮への対応で苦心する戯作者は,新しい風俗をとりこんだ諷刺や,実録的な「つづきもの」などによって今ひとたびの場を得る.高橋お伝の事件を契機に流行した「毒婦もの」の代表作など4編. |
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◆校注者 松沢弘陽 |
◆収録作品 『福翁自伝』 |
| 文学ジャンルとして意識化された「自伝」は明治期をその端緒とする.初めてその用語を書名に冠した福沢の自伝は,幕末から維新へ激しい世を生きた明治知識人の肖像であり,その後の文学的「告白」や「回想録」の源となっている. |
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◆校注者
斉藤利彦(学習院大学)
倉田喜弘 谷川恵一(国文学研究資料館) |
◆収録作品 『改正 小学作文方法』林多一郎・中島 操
文部省音楽取調掛編『小学唱歌集』
『西国立志編(抄)』中村正直
『歌学論』末松謙澄 『演劇改良論意見』外山正一
『日本文体文字新論』『浮城物語立案の始末』矢野龍渓
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| 明治における広義の文学とその制度にまつわる議論は,文化改良や個人の啓蒙を通じた近代国家の構想を背景にしている.国語国字問題に「漢字制限」という観点から一石を投じた矢野龍渓の主張,「自助」という理念で立志のあるべき態度を示した明治青年のバイブル『西国立志編』など,近代精神や知の編成過程をたどる. |
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◆校注者 阿毛久芳(都留文化大学) 明治詩探究の会 松田伊作 勝原晴希(駒澤大学) 下山嬢子(大東文化大学) |
◆収録作品 『新体詩歌(抄)』竹内節 『十二の石塚』湯淺半月 『自由詞林』植木枝盛 『孝女白菊の歌』落合直文 『新体梅花詩集』中西梅花 『旧約聖書(抄)』 『新撰讃美歌』植村正久・奥野昌綱・松山高吉編 |
| 旧来の詩歌からの脱却を提唱した『新体詩抄』に刺激され,新しい文語定型詩への志向を共有した明治20年前後の詩集・詞華集や,「明治の大翻訳」と賛嘆された『旧約聖書』,流麗な文体による讃美歌の訳業など,藤村をはじめとする後の近代詩人たちに影響を与えた韻文創作の試み. |
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◆校注者 須田千里(京都大学) 松本常彦(北九州大学) |
◆収録作品 『近世紀聞(抄)』条野採菊・染崎延房 『鹿児島戦争記』篠田仙果 『掃魔の曙』渡辺 綱 |
| 江戸期に始まり,軍談・仇討ち・お家騒動などを題材に,虚実ないまぜに語る実録物.明治最大のお家騒動「相馬事件」を,裁判や精神鑑定など明治ならではの新たな書割を配して描いた『掃魔の曙』など,大衆的好奇心にうったえ広く流行した実録集. |
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◆校注者 松田 清(京都大学) 中川久定(国際高等研究所) 峯村至津子(京都女子大学短期大学部) 富山太佳夫(成城大学) 渡辺喜之(法政大学) |
◆収録作品 『英国 魯敏 全伝』デフォー 斎藤了庵訳 『哲烈禍福譚』フェヌロン 宮島春松訳 『天路歴程』バニヤン 佐藤喜峰訳 『仇結奇乃赤縄 西洋娘節用』シェイクスピア 木下新三郎訳 |
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◆校注者 岡 照雄(福岡女子大) 清水孝純(福岡大学) 中丸宣明(山梨大学) |
安井亮平 高橋 修(共立女子短期大学) 松田 清(京都大学) |
◆収録作品 『八十日間世界一周』ジュール・ヴェルヌ 川島忠之助訳 『花心蝶思録』プーシキン 高須治助訳 『和蘭美政録』クリストマイエル 神田孝平訳 『探偵ユーベル』ヴィクトル・ユゴー 森田思軒訳 |
啓蒙や改良の手段として近代日本の精神史に強い影響力をもった翻訳という営み.それは,新思想を盛る新しい革袋たるべく伝統的な言葉の靱帯を一杯に伸ばし,新たな言葉や概念の受容を試みる 藤の足跡を示している.フランス文学初の本格的逐語訳となる『八十日間世界一周』など,翻訳というジャンルが一大ブームを迎える明治10年代までの翻訳小説から多彩な作品を収録. |
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◆校注者 山田俊治(横浜市立大学) 林原純生(神戸大学) |
◆収録作品 『情海波瀾』戸田欽堂 『汗血千里駒』坂崎紫瀾 『雪中梅』末広鉄腸 |
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◆校注者 大沼敏男(共立女子短期大学) 中丸宣明(山梨大学) |
◆収録作品 『佳人之奇遇(抄)』東海散士 |
| 明治10年代後半における日本内外の政治的な緊迫感を背景に,自己の政見を小説に託して表現する試みである政治小説は,その盛衰を自由民権運動の歩みとともにした.植民地主義の横行する世界でナショナリズムと民族独立の情熱に燃える小国の志士たちを描いたベストセラー『佳人之奇遇』など,近世的戯作スタイルを脱しつつ近代小説の成立を待つまでの時期に開花した,このジャンルの代表作を収録. |
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◆校注者 青木稔弥(神戸松蔭女子学院大学) 十川信介(学習院大学) |
◆収録作品 『細君』坪内逍遙 『春風情話』スコット 坪内逍遙訳 『稗史家略伝並批評』坪内逍遙 『浮雲』二葉亭四迷 |
小説改良を推進し,近代における「新しい小説」の分水嶺となる2人の文学者.繊細な心理描写を駆使した写実的手法が極まる『細君』や,「 藤する近代的自我」の表出が試みられた記念碑的小説『浮雲』など. |
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◆校注者 須田千里(京都大学) 松村友視(慶應義塾大学) |
◆収録作品 『二人比丘尼色懺悔』 『紅子戯語』 『恋山賤』 『おぼろ舟』 『二人女房』 『心の闇』 |
| 江戸戯作と近代小説,明治文学の轍を大きな歩幅で悠々と歩いた随一の洒落人・紅葉.鏡花に弟子入りを決意させた出世作『二人比丘尼色懺悔』をはじめ,盲人の愛執を描いて写実の色を深めた『心の闇』まで6編. |
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◆校注者 吉田昌志(昭和女子大学短期大学部) 東郷克美(早稲田大学) |
◆収録作品 『琵琶伝』 『照葉狂言』 『辰巳 談』 『三尺角』 『高野聖』 |
| 紅葉門下四天王の一人,唯美・怪異・浪漫への志向で特異な才能をきらめかせた鏡花.初期作品からその資質が極まる代表作『高野聖』まで,近代文学史に屹立する鏡花的世界の完成過程をたどる. |
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◆校注者 山田有策(東京学芸大学) 猪狩友一(白百合女子大学) 宇佐見毅(中央大学) |
◆収録作品 『硯友社文学運動の追憶』丸岡九華 『嘲戒小説天狗』 『花の茨茨の花』 『蝴蝶』山田美妙 『妹背貝』巌谷小波 『黒蜥蜴』 『浅瀬の波』広津柳浪 『蝗うり』前田曙山 『うらおもて』 『ふところ日記』川上眉山 『女房殺し』江見水蔭 |
硯友社は,まだ学生だった紅葉など同好の士が雑誌『我楽多文庫』に集い,趣味と道楽で始まった.やがて明治中期の文壇における一大勢力をなすメンバーが,実験的手法や「観念小説」「深刻小説」等のジャンルで様々に筆才を競った作品群を収録.結社創立の 末を克明に振り返った貴重な回想録も収録. |
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◆校注者 登尾 豊(熊本県立大学) 関谷 博(藤女子大学) 中野三敏(福岡大学) 肥田晧三 |
◆収録作品 『露団々』 『風流仏』 『毒朱唇』 『縁外縁(対髑髏)』 『硯海水滸伝』 『風流艶魔伝』 『風流悟』 『突貫紀行』 『新浦島』 |
| 比類なき博識により独自の詩的想像力の世界を豊かな文体で表現した文豪・露伴.艶美と夢幻に溢れ粋事と純愛が交錯する初期の傑作から抱腹絶倒の文壇パロディまで,「紅露時代」と謳われた初期・発展期の多彩な作品群. |
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◆校注者 高田知波(駒澤大学) 中川成美(立命館大学) 中山和子 |
◆収録作品 『同胞姉妹に告ぐ』中島湘烟 『婦女の鑑』木村曙 『泣て愛する姉妹に告ぐ』清水紫琴 『乳母』北田薄氷 『五大堂』田沢稲舟 『忍ぶ草(抄)』三宅花圃 『みだれ髪』与謝野晶子 『忘れ形見』若松賤子 『妾の半生涯』福田英子 |
| 明治はまた,「表現する女性」の自由と不自由が露わになる時代でもある.文壇への出世では萩の舎塾の同門・一葉に先行し,彼女を大いに刺激した三宅花圃.18歳で自由民権思想について演説,大阪事件で逮捕・投獄され,後にキリスト教的社会主義の道を歩む福田英子.いまなお『小公子』の名訳で筆才が伝えられる若松賤子などの作品を集める. |
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| 『みだれ髪』 |
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◆校注者 菅 聡子(お茶の水女子大学) 関 礼子(亜細亜大学) |
◆収録作品 『闇桜』 『雪の日』 『琴の音』 『花ごもり』 『やみ夜』 『大つごもり』 『たけくらべ』 『軒もる月』 『ゆく雲』 『うつせみ』 『にごりえ』 『十三夜』 『この子』 『わかれ道』 『裏紫』 『われから』 『日記(抄)』 |
| 25歳の短い生涯で日本文学史に不朽の名を刻んだ一葉.「奇蹟の14か月」といわれた時期に書かれた『大つごもり』『たけくらべ』『十三夜』などは明治という時代に生きる女性の哀しみを描いた名作.その記述が文学的な諸問題を喚起してやまない,一葉最大の作品として名高い「日記」も抄録. |
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◆校注者 小泉浩一郎(東海大学) 山崎一穎(跡見学園女子大学) 池田紘一(九州大学) 須田喜代次(大妻女子大学) |
◆収録作品 『舞姫』 『うたかたの記』 『文づかひ』 『即興詩人(抄)』 |
明治17年から21年までの留学体験を下敷きにしたドイツ三部作と,帰国後9年かけて翻訳したアンデルセンの小説『即興詩人』を収録.ことに「国語と漢文を調和し,雅言と俚辞とを融合」したというこの翻訳には, 外の他に類なき情熱が注がれ,その訳文の優雅さにおいて後の文学者たちに大きな影響を及ぼした. |
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◆校注者 藪 禎子 吉田正信(愛知教育大学) 出原隆俊(大阪大学) |
◆収録作品 「植村正久の評論より」 「巌本善治の評論より」 「徳富蘇峰の評論より」 「北村透谷の評論より」
「内村鑑三の評論より」 『現代日本教会史論』山路愛山 |
| 恋愛,生命,自我,新思想……近代における文学的内面の創出を語るうえで不可欠な,明治のキリスト教受容.透谷ら代表的キリスト者による評論集と,幕末以降のキリスト教受容史を思想的自伝を交えて綴った愛山の史論. |
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◆校注者 宗像和重(早稲田大学) 勝原晴希(駒澤大学) 金井景子(早稲田大学) |
◆収録作品 『筆まかせ(抄)』 |
| 明治17年から25年に至る膨大な随筆『筆まかせ』.小説論,詩歌論,紀行文,ベースボールに備忘録……精神的営みの伸びやかさに溢れるこの子規的宇宙は,『病牀六尺』とは全く印象の異なる初期の子規を理解するために欠くことのできない貴重な資料でもある. |
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◆校注者 藤井淑禎(立教大学) 新保邦寛(筑波大学) |
◆収録作品 『源叔父』 『武蔵野』 『欺かざるの記(抄)』国木田独歩 『帰省』内藤湖処子 |
| 浪漫主義的傾向とキリスト教信仰とが結実した文学的内面により,新しい人生観・自然観を開いた独歩と湖処子.武蔵野の面影が色濃い東京近郊の風景を写した散文詩的小説の代表作『武蔵野』,死後に公刊された苦悶の手記『欺かざるの記』など4編. |
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◆校注者 中野三敏(福岡大学) 宗像和重(早稲田大学) 十川信介(学習院大学) 関 肇(光華女子大学) |
◆収録作品 『当世商人気質』饗庭篁村 『かくれんぼ』 『あま蛙』 『小説評註問答』 『眼前口頭』斎藤緑雨 『浮説写真 百人百色(抄)』骨皮道人 『文学者となる法』内田魯庵 |
| 滑稽,皮肉,毒舌,諧謔……明治文学の真骨頂はここにある.江戸文学の伝統を継承しつつ,西欧の文学をも摂取した文人グループ根岸派の中心人物篁村,才知溢れる批評眼でならした緑雨,小説・翻訳・批評など多方面で旺盛に活躍した魯庵など,文学者そのものにも向けられた風刺的態度の数々. |
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◆校注者 谷川恵一(国文学研究資料館) 高橋圭一(大谷女子大学) 中島国彦(早稲田大学) 池内輝雄(筑波大学) |
◆収録作品 『世路日記』菊亭香水 『三日月』村上浪六 『最暗黒の東京(抄)』松原岩五郎 『滝口入道』高山樗牛 |
| 町奴が任侠の道を貫く撥鬢小説,最底辺に生きる人々の暮らしを自ら潜入して描いたルポルタージュ,明治初の立志小説など,独自のジャンルと創作力によって明治の大衆から喝采を浴びた個性的な名作群. |
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