物価上昇の局面にもかかわらず、厚生労働省は公的年金の受給額を来年度予算の概算要求段階では据え置きを前提とする方針を固めた。過去の物価下落時に年金額を下げなかった特例分を差し引かなければならないうえ、物価の上昇ほど年金額を増やさない「マクロ経済スライド」と呼ぶ調整が働くためだ。ただ、与党内には年金生活者への配慮を求める声もあり、決定までには曲折も予想される。
公的年金は原則として毎年1月、前年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む)を反映し、4月以降の受給額を決めている。2008年度の受給額は07年平均の消費者物価が横ばいだったため、07年度と同じ水準に据え置いた。基礎年金を含む厚生年金の夫婦2人分の標準的な年金額は月23万2592円だ。
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