○中村、悔しさ残る「銅」＝平成生まれの根性娘−柔道〔五輪・ハイライト〕

　女子５２キロ級の表彰式。中村の目に涙が光った。「金メダルの位置に立ちたかった、と思った。悔し涙です」。１９８９年４月生まれ。「平成生まれのメダリスト」第１号になったが、メダルの色にこだわった。

　「五輪のプレッシャーはなかった」。順調に勝ち進む。だが、準決勝でアン・グムエ（北朝鮮）に惜敗。金の望みは消えた。それでも、悔しさを胸にしまい込み、３位決定戦で快勝した。

　顔にはあどけなさが残るが、感情を表に出さない。好きな言葉は「根性」。東京・渋谷教育渋谷高１年の時、４８キロ級で講道館杯と福岡国際に優勝し、一躍「ポスト谷」と騒がれたころも「わたしは中村美里だという気持ち」だった。

　減量が厳しくなり、昨年秋、谷との対戦がないまま５２キロ級に転向。勢いがよみがえる。「自分が力強くなった。前に出て圧力を掛けられる。がっちり受けられるようにもなった」

　五輪前、高校時代の恩師が驚いた。「肩にパッドを入れているのか」。卒業後数カ月で、たくましく変わっていた。三井住友海上の柳沢久監督も「すごく筋肉が付いた」と急成長に目を細める。

　日本に戻ったら「友達と遊んだり話したりしたい」と中村。もう一つの、１０代最後の夏が待っている。（北京時事）