司法の広場

2008年08月10日号

【世相の裏表俺が斬る】
真夏の放言                      M・S


●真夏の怪談 その2
 昨年の夏、虎ノ門の地上げでイケイケだったころ、渋谷にある事務所で活躍していたS氏が、ことしは東京の寒さに耐え切れず、香港、マカオに避寒ということで長期休暇に出かけられたようだ。
さて、何故香港マカオなのかというと、ビザが切れても強制送還されないのだそうです。
だったらビザなんか要求しなけりゃいいのにね。
毒餃子食い過ぎかな。

 先日も35度を超える暑さで直射日光が頭皮に直撃するのでうちの先生は、最近登記所に行く途中倒れそうになったので最近帽子をかぶっています。

 しかし、地上げを中心に活動していた不動産業者は寒いみたいですね。
Sさんは特殊地上げで有名な方で、まあ貸し金業みたいだったり不動産業みたいだったりで、登記の専門家のようです。

 香港は麻雀の発祥の地ですから寒さをしのぐにはいいところでしょう。

 ところでSさんのやっていた虎ノ門の地上げに黒い雲がかかっているようです。
中心で名前を出しているA社がどうやら地上げ完成あと一歩のところで燃料切れとか。
というのは、燃料を注入していた一部外資が手を引き始めたとか。

●不動産バブルとは何か?
 さて今回の東京不動産バブルっていったいなにか。

「狡兎死して走狗煮らる。」ということですかね。
さて今回の不動産バブルで特徴的なのは不動産登記簿を見るとわかります。
それは、銀行の参戦がほとんど無いと言うことです。
しかし一部の銀行は参戦しています。H銀行、T銀行などです。
H銀行は前頭取が追求を受けているとか。
キーワードは「やるしかない。僕たちは。」です。
リスクを取って収益だ。隠れ赤字を償却だ。
そして、新興上場の不動産企業関連のノンバンクが大活躍です。
考えてみれば競売で苦労するくらいなら代わりに不動産事業で処理すればいいのですから不動産屋がノンバンクになればいいのだというノリでしょう。
そして地上げ物件のほとんどは前回の大バブルの不良遺産ばかりです。
それを処理するためにカタカナマンション屋が上場しました。
上場したから、金を貸すということで、ノンバンクを通じて資金を供給して
大バブルやりかけ案件を処理していった側面は確かにあります。

●大勘違いが「ヒューザー」
 そういうなかで、大勘違いが「ヒューザー」

 オジャマモンという科白で第二、第三のダイナシティーになろうとしましたが、頭は良いのだけど、建物高く作ると柱を太くしなくてはならないという、積み木の原理を知らなかったようですね。
建築確認を通せば細い柱が我慢して建ち続けると思ったようです。
こういうのは「走狗」にさえなれなかった部類です。
姉歯設計とおなじで物理的不適合者ですね。
「走狗」以前でした。

●ダイナシティー
 さて、ダイナシティーはというと

 いろいろ言われますが、隙間マンションと言うことで仕事はうまいのでは。
中途半端な土地に小さなマンションをとにかく企画します。
残念ながら、「袖長き物はよく舞う」で社長さん浮かれすぎてシャブに手を出しました。営業企画は良かったけど躾けられていなかっただけですね。
がんばってもらいたい。

 さて、Sさんが去年事務所を使っていた元二部上場のR社関連は。

 裁判に勝利し勢いに乗って国家賠償訴訟をされているようです。
一方の当事者は控訴されているようです。
でかい重石がとれるとフタがとれてどういうことになるかと見守るしかありません。
人には寿命がありますからね。合掌。

●つぎにUSAでしょうか。
 これらは、ある意味成功したわけです。
地上げ本流が来てやりましたから。ところが南青山騒ぎがいけませんでした。
南青山は飛ばしの聖地です。
その処理は腫れ物に触るようにして静かにやらねばいけないのに騒いだ奴がいる。
「盗跖にも仁義」というように地上げ屋も仲間モラルを守らないとね。仁義なき戦いにしてしまいました。
ここで一気に新興上場不動産業の背景が明らかになりました。
パンドラの箱を糸川議員があけてしまった。すごいぞ。
結果は平和奥田倒産です。そして特別背任です。
まあこれらは新暴対法の精神に照らせば、そして当然そうあるべきなので、
市場から追放と言うことでしょう。
扱う物件が「ビミョー」という若者言葉から「KY物件」になりましたからね。
「USAってさKYだよねー。」
このジャンルは「資本の走狗」ではなく「マフィアの手先」ということでしょうか。

●そうなると、某商工金融が。
 消費者金融でない商工ローンのなかでこういう企業に金を出しているところがあります。
南青山ショックはここにきたわけですね。
外資も山口組には表だって金は出せないわけですい。
「沈黙の誓い、オメルタ」はだからあったのに。

 というわけで一挙に金融梗塞となりました。

「資本の走狗」と「マフィアの手先」は意味が違う。
これは社会現象で法的な側面ではありません。
走狗はたぶん次回の出番まで飼い主「お預け」指令が出て座っているでしょう。
マフィアの手先は暑い中、暴対マラリアに感染して寒さに耐えかねマカオでバクチしているわけです。
人生ギャンブルということですね。
貧乏に慣れきった筆者も「資本の走狗」になって餌がほしいのですが
飼い犬は吠えられないからなかなかなりきれないしそれに雑種で何でも食えるからいいかも。

●不動産不況は今の日本経済の後退と関係ない。
 まあ悪性腫瘍を取るために大手術をしているようなもので
こういうのを市場から排除したらまた不動産市場活性化します。
石油の値上がりというのは単純でなく、資源国オーストラリアがどうやらインフレで大変になっているようです。
ですから、大調整局面が世界中に来ているのですからその影響は日本にも来るわけで、今回の不動産不況と不動産屋の倒産はじつは裁判所不信なのですね。
市場からヤクザを撤退させるのに司法は無力だと言うことです。
仕方がないから水攻め、兵糧断ちで排除するわけです。
国家議員までこううのから金もらっているから仕方ないわけですね。

●不動産業の原点は賃貸。資源高騰はボリューム設計を許さない。
 さて、これからの不動産業の発展のためには賃貸部門の整理が必要です。
何故かというと、収益不動産が金融商品の側面があるとすると
その運用が経済合理性に基づくべきからです。
エイブルの処分と宇都宮弁護士の仕事は同じ事象の裏表です。
宇都宮弁護士のサラ金との戦いは、これから賃貸業者の過剰勧誘と家賃保証の欺瞞性との戦いに転進する雰囲気です。
賃貸業者の寡占化は実は賃貸市場の価格形成をゆがめているのです。
国土交通省も消費者保護と健全な不動産市況を守るという観点から宅地建物業法を大胆に運用すべきだし、不動産賃貸の改革に取り組むべきです。

 そして、資源の高騰からコンクリートに焼却灰を混ぜようなんてことで
対応している業界に未来はありません。
不動産利用における建設費の高騰はボリューム一杯に設計すると利回りがあわなくなると言う結果になるやもしれません。
高い建物には太い柱がいりますから。
超高層にすると水を上層階に供給しようとするとエネルギーが掛かると言うことは中学の理科の教科書にあります。

●みんなで貰えば怖くない流山
 所詮経済の環境は変わるわけで土地神話も少しずつ変わるわけですね。

 土地を巡るシノギも転回点なのです。
ですから公共工事にゼネコンと一緒にヤクザが参加するのですかね。
「みんなで貰えば怖くない流山」現象と言います。


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