「質問主意書」に対する答弁書(2004/1/30 回答)
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内閣衆質一五九第五号
平成十六年一月三十日
内閣総理大臣 小 泉 純一郎
衆議院議長 河 野 洋 平 殿
衆議院議員前田雄吉君提出
連鎖販売取引の規制強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員前田雄吉君提出連鎖販売取引の規制強化に関する質問に対する答弁書
一について
特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号。以下「特定商取引法」という。)第三十三条
に規定する連鎖販売取引については、いわゆるマルチ商法に起因するトラブルの多発に対応するため、特
定商取引法において、連鎖販売業者等に対し、書面交付により事業の概要及び契約の内容を明らかにする
ことが義務付けられ、不実告知等不公正な勧誘行為が禁じられる等の措置が講じられている。これらの措
置は、連鎖販売取引を公正にし、また、その取引の相手方が受けることのある損害の防止を図ることによ
り、取引の相手方の利益を保護し、併せて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民
経済の健全な発展に寄与するものであると考えている。
二について
独立行政法人国民生活センター及び全国の消費生活センターに寄せられている大学生等を対象とした連
鎖販売取引等に係る苦情相談の件数については、近時、増加しているものと承知している。政府としては、
その状況について必要な情報の収集を行うとともに、これに基づき情報提供や注意喚起に努めている。た
だし、事業者名を含め個別事業者の取締りに向けた調査の状況に係る情報については、その性格上、公表
することは適切ではないと考えている。
また、事業者団体の自主規制としては、社団法人日本訪問販売協会が連鎖販売取引に係る自主行動基準
を定めているが、当該自主行動基準は同協会の構成員以外の事業者には効果が及ばない。
このような状況も踏まえ、昨年から、産業構造審議会消費経済部会特定商取引小委員会及び同審議会割
賦販売分科会割賦取引小委員会(以下「両小委員会」という。)において、連鎖販売取引等の特定商取引
について取引の公正の確保等の観点から、特定商取引法及び割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)
の改正について審議が行われており、政府としては、その審議結果を踏まえ、具体的な法律改正案を
検討していく予定である。
三について
連鎖販売取引等の特定商取引に係る取引の公正の確保等のためには、法律違反行為の厳正な取締りが重
要であり、また、それとともに、トラブルを防止し救済を容易化するための民事ルールの機能を強化する
必要がある等の視点に立って、昨年から、両小委員会において、特定商取引法及び割賦販売法の改正につ
いて審議が行われており、政府としては、その審議結果を踏まえ、具体的な法律改正案を検討していく予
定である。
なお、警察においては、連鎖販売取引について、特定商取引法、刑法(明治四十年法律第四十五号)等
の罰則規定に該当する行為の積極的な取締りを行っているところであると承知している。
四について
事業者団体が取引の公正の確保のために適切な自主規制のための基準を策定し、又はより適切な内容に
改正すること、その内容を国民に周知すること及びその構成員が当該基準を遵守することについては、当
該基準の効果は当該団体の構成員にしか及ばないものの、取引の公正の確保に資する一定の意義はあるも
のと考える。
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