掲載誌
日本流通産業新聞
2005年3月3日
掲載欄
(8)面/総合
見出し
流通ビジネス推進政治連盟・議員連盟事務局長
前田雄吉議員がネットワークビジネス関連質問
「苦情」の判断基準にあいまいさ指摘
(1面から)
まず、前田議員は04年に引き続き、「悪質なマルチ企業は厳格に取り締まり、健全な企業やディストリビューターは保護育成されるべき」と述べたうえで、経済産業省にネットワークビジネスの従事者と産業規模の把握をしているのか聞いた。
経済産業省・迎商務流通審議官は、世界訪問販売協会の推計値を発表するにとどまり、「連鎖販売取引の額や従事者数は把握していない」と答弁。前田議員は、来年までに実態調査を求めた。
続いて、警察庁の04年度の取り締まり状況を尋ねたところ、検挙数が2件という回答だったことを受け、前田議員は、悪質企業の取り締まり強化を要請した。
次に、国民生活センターのPIO-NETに寄せられる「苦情」件数と「問い合わせ」件数の判断基準が非常にあいまいではないかと指摘。例えば、「クーリングオフはどうやればいいか」という問い合わせは、「苦情」なのかという質問をしたところ、内閣府・田口国民生活局長は「PIO-NETで収集しているものは、苦情に関する情報で、単純な一般的照会のようなものは問い合わせということで原則として含めないこととしている」と前置きしたうえで、「個別の具体的な相談事案に応じ、例えば、クーリングオフの方法等を助言する場合は、PIO-NETにカウントしている」とした。前田議員は、「クーリングオフのやり方を聞いている場合には、問い合わせとしてカウントされるべきだ」とあいまいな判断基準の是正を求めた。加えて、苦情情報の開示も要求した。
ネットワークビジネスの基本法制定を提案
最後に、前田議員は昨年改正した特商法について言及。例えば同窓会の帰りに友人を自宅に誘い、商品を販売したら販売目的の隠匿となり、さらに自宅は公衆の出入りしない場所となるため、ネットワークビジネスの仕事がしにくくなっているという現状を述べた。そして、「特商法の前身である訪販法はそもそも連鎖販売を禁止すべきとの議論から生まれた。しかし、ネットワークビジネスは国内で急成長し、中国でも一大ビジネスモデルとして法整備が進んでおり、世界的に拡大している。特商法は、キャッチセールス、点検商法、内職商法などさまざまなものが包含されて、あいまいになってしまった。一方で、新しいビジネスモデルのネットワークビジネスをあいまいな法律の中に押し込めておく時期は過ぎた。日本の国際競争力の観点からすると問題。ネットワークビジネスそれ自体、個別商法として基本法をつくる必要があると考えている」と提言した。
小此木経済産業副大臣は、「現実にマルチ商法によるトラブルが多発していることを踏まえれば、引き続き特定商取引法の規制により、連鎖販売取引の法制確保を行うことが重要である。引き続き政府として悪質業者の取り締まりに力を入れていく。ご指摘の基本法は慎重に検討したい」と答弁した。
今回の質問で、PIO-NETへの相談で、「クーリングオフの方法を助言する」ことが「苦情」にカウントされており、苦情と問い合わせの判断基準のあいまいさが浮き彫りになった。また、ネットワークビジネスの基本法制定という提案は、ビジネスモデルとして認知されるうえでも議論されるべき課題になるといえそうだ。
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