ネットワークビジネスの社会的認知に向けた活動をしている流通ビジネス推進政治連盟(事務局・東京、形山淳一郎理事長)の議員連盟で事務局長を務める前田雄吉議員(民主党)が3月1日、衆議院予算委員会第七分科会で、経済産業省と警察庁に対し、連鎖販売取引に関するトラブルと取り締まりの状況、ネットワークビジネス界の現状認識などを質問した。
前田議員は「日本では一部の悪徳な企業によって、多く真面目にビジネスを行っている人々が迷惑している。最近の大学生の被害を含めた悪質な企業は厳格に取り締まらなければならない」とした上で、経産省に行政指導を求めた。
それに加えて、同省がネットワークビジネスの従事者や売上高などの現状を把握していないことを指摘。「産業構造審議会の特定商取引小委員会の構成メンバーに、経験者や実態が分かっている人が一人も参加しておらず、現状を正確に把握して議論し、答申を出すのは難しい」と苦言を呈した上で、ネットワークビジネスに精通した人も加えるべきと提言した。
外資系企業のプレマーケティングの問題についても言及し、日本で法人登録せずに、会員を集め、すぐに撤収することで、被害が出ているケースを指摘。韓国のような被害者救済保険への加入を条件とした登録制度を参考に、日本でも同様の法整備を提案した。
経産省・青木宏道商務流通審議官(当時)は、「過去に事前届け出制を議論したところ、事業者を継続的に把握、監督するのは、膨大な行政コストが必要で、開業・廃業の激しい事業者の規制として実効性に問題があり、採用をやめた」との経緯を説明した。
警察庁に対しては、「相談件数が増加しているにもかかわらず、摘発件数が極端に少ない」との疑問を示すとともに、ごく微々たる悪質な企業を厳格に取り締まることで、真面目に汗をかいている人々が馬鹿を見ないような、警察行政を要望した。
また経産大臣に対しては、「法に則して活動して、きちんと納税もしている善良なネットワークビジネスの企業が数多く存在している」という事実認識を質問。
江田康幸大臣政務官は「特定商取引法等の法をきちんと遵守している、業者にとっては何も問題はないと思うが、悪質業者がいることから、末端において損失をこうむってトラブルが生じる。連鎖販売取引はそういうものを生じやすいので、悪質なものについては取り締まりを強化するとともに、法を順守してもらい、そうすれば適切な取引、商売ということになるかと思う」と答弁した。
最後に「いま、ネットワークビジネスは世界的に大きな広がりをみせている。年齢も性別も問わない、老齢者や社会的弱者にも就業のチャンスが生まれる。納税義務を果たしている大多数の企業や従事者がいる。一つの流通のスタイル、システムとして、法を順守したものについては、大いに育成し、プラスの思考でとらえるべき」と中川昭一経産相に質問した。
中川大臣は「連鎖販売取引であっても、販売組織や個人販売員の活動が、法律に従って厳正に守られているという場合には、必ずしもこれは問題ではないと思う。
しかし、ビジネスに不馴れな個人がほかの個人を販売員として次々と勧誘し合って、段々上に上がっていくシステムが、日本において、トラブルが現に起こっている。質問が、きちっとしたルールが守られて厳正に適用されれば、これは世界の流れだからもっと真剣に検討してもいいんではないかという趣旨であれば、一定の厳しい要件が付くとは思うが、ひとつ検討に値することだとは思う。
現時点で、あまりにもいろんなトラブルがあるということの方が我々としては重視せざるを得ない」という認識を示した。 |