女流棋士会
女流棋士もふたつの団体に分かれてから一年ちょっと経ちました。7月7日付読売新聞の夕刊「一手千金」というコラムに上田初美女流二段の名文があります。本音を素直に吐露したものです。新聞社と本人の了解を得ましたので全文掲載します。
「女流の使命、果たすため努力」 上田 初美
昨年5月、将棋界に「日本女子プロ将棋協会」という団体が新たに誕生した。
当初は女流棋士のほぼ全員が日本将棋連盟から新団体へ移籍すると思われた方も多いだろうが、現在、女子プロ協会に所属するのは18人。一方、将棋連盟には40人の女流棋士が所属している。
といっても移籍しなかった私たちは、イベントの出演など損得のためだけで連盟に残ったのではない。女流棋士一人ひとりが深く考え、悩んだ結果なのだ。
もともと一つだった女流の団体が二つに分かれる際、さまざまな情報が流れた。情報とは怖いもので、受け取り方によっては、いい意味にも悪い意味にも取られてしまう。
ファンの皆さんには、連盟が女流棋士を独立させないよう意地悪したかのような印象を与えたかも知れないが、誤解だ。むしろ女流内部の問題で連盟全体を困らせてしまったのは、今でも本当に申し訳なく思う。また、この騒動をめぐり、たくさんのファンにご心配をおかけしたことも実に心苦しいことだった。
いま私たちが出来ることは、新しいイベントを開催し、ファンの方に楽しんでいただくこと、そして何よりもっと将棋が強くなることだろう。連盟の女流棋士会が新しい体制になって1年が経ち、多くのイベントを開催してきたが、正直、成功とは言い難いものもあったと思う。それでも、私たちは一歩一歩進んでいきたい。
私はファンの皆さんの笑顔や、指導将棋を受ける時に真剣に指し手を考えている姿が大好きだ。これからもその姿が見られるよう努力して行きたい。(女流棋士二段)
これは日本将棋連盟の女流棋士会の大多数の氣持ちの代弁です。
公益法人改革は女流棋士会にも大きな影響が出ます。彼女達は日本将棋連盟と友好な状態を保つことを前提として、新たなる組織作りを模索中のようです。
これから手作りで全部やってゆかなければなりません。イベントもお姫様でいられる訳ではありません。机や盤駒を並べるのも仕事です。ファンの皆様の中で、少しくらい手伝ってやっても良いという方は是非応援してやって下さい。私もそっちの方が楽しそうですから行きたいです。
公益法人改革については「まじめな私」をお読み下さい。
プロフェッショナル
NHKスペシャルに今期の名人戦を戦った羽生と森内のライバル物語が取り上げられました。視聴率は関東、関西とも10.7%とか。通常は7%とのことですから大したものです。身びいきでしょうか、やっぱり棋士の対局姿は良いですね。
将棋世界8月号は店頭に残っているもの以外は殆ど売り切れらしいです。名人戦結着号で、羽生人氣ということかと思ったら全く違う意見もあります。ハチワンダイバーなるフジテレビ系のドラマがありました。これが若いギャルに大人氣で、将棋世界を持ち歩いている高校生が多かったというのです。私としてはですね、来月号もどうか同じように売れますように祈るだけです。
名人就位式
さすが羽生名人の就位式ですね。椿山荘にて700名余の人々が集まりました。凄い熱気です。
共催になっての初めての就位式。毎日は朝比奈豊社長、朝日は秋山耿太郎社長とトップが出席です。
私はお二人のあと三番目に挨拶。
「この2年間はいろいろありました。本日、このような形で私が就位式に会長としてご挨拶できるとは思ってもいませんでした。全ては朝日新聞社の熱意と毎日新聞社の大きさ、懐の広さのおかげです。あらためて両新聞社に厚く御礼申し上げます。
それもこれも全国の将棋ファンあってこそです。これからもご支援下さいますようお願い申し上げます。あ、それから将棋に理解ある新聞のご購読を是非お願い。云々」
私はサイン攻め、撮影等々一時間半の間、多くのファン、知人と接することが出来ましたが、なにしろ人が多い。せいぜい200名くらいの人としか話が出来なかったと思います。九州から来た人、東北から来た人もいます。
「米長先生のHPを読んで来ました。このパーティに出席出来て本当に良かった。運をもらって帰れそうです」
大変楽しいパーティでした。
メールあり。
「楽しいパーティでした。プロ棋士の先生方も、もっと多く参加して、ファンとの交流の場としたら良いのでは。
棋士だけが数人で固まっているのはやめて、ファンサービスをするようにしたら将棋界はもっともっと良くなると思います」
おっしゃる通りです。ご意見等、掲示板の方へお寄せ下さればと思います。
小中学生と将棋
おかげさまで小子化の中、将棋人口は増えているようです。夏休みには公式な大会、準公式、プライベートな催しが目白押しです。
全ての大会に、参加者の増加を第一と考えています。その次に棋力のレベルアップです。どうしても弱い者、負けた者は翌年の大会には引っ込み思案になりがちです。
私は徳川家康の遺訓にこそ現代教育で最も失われているものと、将棋こそがそれをカバー出来るものが含まれていると思っています。
徳川家康遺訓
「人の一生は重き荷を背負いて遠き道を歩むが如し。決して急くべからず。」
この有名な家訓は徳川三百年の礎になったものです。数々の戒め、教訓が一言毎に分かり易く書かれています。特に次の項はハッとします。
「勝つことのみを知りて負けを知らざれば、害その身に至る」
人間が成長するには勝つばかりではなく、負けることによって得るものが多々ある。負けたからもう将棋は嫌い、次の大会には出ないなどはもってのほかである。負けた口惜しさをバネにして新たに大きなものに立ち向かう。これが人生で一番大切なことと説いています。将棋を習いたての小中学生には、負けてこそ得るものが多いことを、その年齢に応じて説くことが求められます。
将棋大会やイベントでは、早々に敗退した者や、弱い人、一局も勝てないような人やその母親に「今日は参加して良かった。又来年も来たい」と思ってもらうような工夫、努力が必要です。この運営者のノウハウについて近々「普及会議」を立ち上げるつもりでおります。
対局型掲示板は普及に関する建設的なご意見は行数に関係なく歓迎です。是非、妙案、工夫等、宜しくご投稿を。
小学生名人戦、中学選抜は個人戦です。文部科学大臣杯の小中学校団体戦は3人1チームの団体戦。この団体戦は2年目ですが、参加チームが増えた都道府県と、残念ながら減少した所がある。来年は全都道府県で増加が最低限の目標です。
関係者の皆さま、頑張って下さい。
女流の人氣
夏は各地で将棋まつりが目白押しです。詳しくは「スケジュール」の項をどうぞ。
インターネット棋戦の大和証券杯、達人戦も8月に決勝戦があります。ライブで観戦出来ますので、事前申し込みをどうぞ。
男子プロの対局は多くのファンを感動させますが、やっぱり女流棋士は人氣があります。
女流棋士は大別すると3グループです。27才以上の約40名が2つに分かれました。一方は新団体を作り、もう一方は残った。20名ずつくらいで、それぞれに主張があるのでしょう。
25才以下は結束が堅い。将棋のプロである以上はある程度の実力は不可欠。という訳で、男子プロを多数投入して実力アップを図っています。同時に「サービス」「普及」等の指導もしています。
「あんた!将棋が弱いくせに仕事が多いわね」
もうこのようなイジメなどは無くなるものと信じたい。若い女流への応援、アドバイスを宜しく。勿論、全ての女流を宜しく。