掲載誌
日本流通産業新聞
2004年3月4日
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ネットワークビジネス、国会で質疑
衆院予算委で前田議員
「健全な事業者は育成すべき」
ネットワークビジネスの社会的認知に向けた活動をしている流通ビジネス推進政治連盟(略称NPU、事務局東京、形山淳一郎理事長、(電)03-5339-2827)の議員連盟で事務局長を務める前田雄吉議員(民主党)が3月1日、衆議院予算委員会の第七分科会で、連鎖販売取引の規制強化に関する質問を行った。前田議員は質問のなかで、「ネットワークビジネスを一つの流通のシステムと認知して、法を順守した活動については、大いに育成していくという、プラス思考でとらえるべき」と発言。これを受けて、中川昭一経済産業大臣は「ルールが守られ、一定の要件がつくが、検討に値する」と答弁した。また、最近の大学生の被害やプレマーケティングの問題などが質問に挙がった。前田議員は「予算委員会でネットワークビジネスについて質問したことは大きな一歩となる」と業界の社会的認知向上に意欲を示した。
▼ネットワークビジネスの育成を訴える前田雄吉議員
(衆議院予算委員会・第七分科会にて)
中川経産相
「要件つきで検討に値する」
冒頭、前田議員は、ネットワークビジネスはフランチャイズと並び、二大ビジネスの一翼を担っていると米国の状況を説明した。一方、「日本では一部の悪徳な企業によって、多く真面目にビジネスを行っている人々が迷惑している。最近の大学生の被害を含めた悪質な企業は厳格に取り締まらなければならない」と訴えた。
合わせて、経済産業省がネットワークビジネスの従事者や売上高などの現状を把握していないことを指摘し、実態の認識を促した。
警察庁に対しては、「相談件数が増加しているにもかかわらず、摘発件数が極端に少ない」との疑問を示すとともに、ごく微々たる悪質な企業を厳格に取り締まることで、真面目に汗をかいている人々が馬鹿を見ないような、警察行政を要望した。
警察庁・伊藤哲朗生活安全局長は、「ヤミ金融事犯などと比較して、脅迫・威迫行為による被害が少なく、金銭的被害の回復という民事的側面がほとんど」と背景を説明、「悪質業者に対する積極的な取り締まりに務める」と取り組む姿勢を示した。
次に、米国をはじめとする外資系企業のプレマーケティングの問題について言及。日本で法人登録せずに、会員を集め、すぐに撤収することで、被害が出ているケースを挙げ、韓国のような被害者救済保険への加入を条件とした登録制度を参考に、日本でも法整備をしたらどうかという提案を行った。
経済産業省・青木宏道商務流通審議官は、「過去に事前届け出制を議論したところ、事業者を継続的に把握、監督するのは、膨大な行政コストが必要で、開業・廃業の激しい事業者の規制として実効性に問題があり、採用をやめた」との経緯を説明した。
また、前田議員は「産業構造審議会の特定商取引小委員会の構成メンバーに、経験者や実態が分かっている人が一人も参加しておらず、現状を正確に把握して議論し、答申を出すのは難しい」と苦言を呈したうえで、ネットワークビジネスに精通した人も加えるべきと提言した。
最後に、「いま、ネットワークビジネスは世界的に大きな広がりをみせている。年齢も性別も問わない、老齢者や社会的弱者にも就業のチャンスが生まれる。納税義務を果たしている大多数の企業や従事者がいる。一つの流通のスタイル、システムとして、法を順守したものについては、大いに育成し、プラスの思考でとらえるべき」と要望した。
これを受けて、中川経済産業大臣は、「連鎖販売取引であっても、販売組織や個人販売員の活動が法律に従って厳正に守られている場合には、必ずしもこれは問題ではない。ルールが守られて厳正に適用され、これは世界の流れでもっと真剣に検討してもいいというのであれば、一定の厳しい要件がつくけれども、一つ検討に値することだと思う。しかし、現時点ではあまりにもいろいろなトラブルがあることを重視せざるを得ない」という認識を示した。
本紙の取材に対して、前田議員は「経産省は、訪問販売と連鎖販売の区別をしておらず、実態を把握していない。また、真面目にビジネスをしている人をどう思うか回答を得られなかったのは残念。法を順守していればいい産業である。引き続き、安心してできる仕組みづくりを求めていきたい」と認知向上のための大きな第一歩であるとコメントしている。
国会の場で、ネットワークビジネスに関して前向きな質問を行い、議論されたことが、マイナスイメージの払拭と社会的認知向上の黎明期に位置付けされるかどうか期待されるところだ。
⇒
前田議員の質問内容(全文)
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