グルジア・トビリシ――グルジアからの分離独立を目指す親ロシアの南オセチア自治州で、グルジア軍部隊と分離派政府部隊との戦闘が激化し、サーカシビリ・グルジア大統領は8日、テレビで声明を発表し、同国軍が自治州の州都ツヒンバリを包囲する作戦を開始したと述べた。制圧まで見据えているのかは不明。
州都周辺の村落は既に支配下に置いたとしている。大統領はまた、予備役兵の召集も発表した。ロシアのタス通信は、州都に迫っているグルジア軍兵士は約2千人としている。南オセチア自治州のメディアは、グルジア軍の砲撃で州都の数十カ所の建物が炎上したと伝えた。分離派政府当局者はグルジア軍は7日夜から8日にかけ航空機、砲撃などで攻撃、民間人15人が死亡したと述べた。
グルジア政府当局者は、ロシア軍空軍機が8日朝、グルジア領内に爆弾2発を投下したが、死亡者はいなかったと主張した。ロシア政府は爆撃の事実を否定した。AP通信は、ロシア軍の戦車、重火器類が自治州と接するロシア領内に集結、南オセチアの住民がロシア側に避難していると伝えた。ロシアのテレビは多数の戦車が自治州への進軍を開始したとも報じた。
ロシアのプーチン首相は、グルジア軍の進攻には報復すると言明した。ロシア国防省高官は、ロシアの市民権を持つ南オセチア自治州の住民を保護するため必要な措置は取ると表明した。今回の戦闘激化を受け、南オセチアを支援するロシアとグルジアの対立が強まるのは必至となっている。
グルジアの国連大使は戦闘拡大について、分離派の政府部隊がグルジア領内に入り、村落を破壊、民間人複数を殺害したたのが原因と主張した。グルジアと分離派政府は8日、ロシアの仲介で会談する予定だったが、グルジア政府当局者は分離派側が砲撃でこの話し合いを葬ったと主張した。
グルジアと南オセチアは1990年に軍事衝突を起こし、92年に和平合意を結んでいる。ただ、これ以降、南オセチアは事実上の独立状態にあった。
ロシアの要請を受け国連安全保障理事会の緊急会合が8日朝まで開かれたが、衝突防止など外交解決へ向けた声明は出せなかった。