各国の記者が集うメーンプレスセンターのトイレに入ると、便器などのあちこちに白色や銀色の粘着テープが張られている。はがしてみると、アメリカン何とかとアルファベットのメーカー名が現れた。
商業五輪が定着し、五輪スポンサー以外は宣伝、広告が厳しく制限されている。しかし過去の大会で、報道されないトイレの中までの徹底ぶりを見たことがない。
食への対応も厳しかった。シドニー大会では、「プレスセンターでの記者たちは当方が用意した飯を食べるべし」と日本食の弁当や即席めんの持ち込みを厳しくチェックし不許可にした。知恵を絞った同僚の記者はアテネ大会で、炊飯器に巨大なオフィシャルハンバーガーメーカーのロゴを張って持ち込んだりした。
ところがこの北京大会。先日、セキュリティーチェックで所帯の大きいテレビ関係者が、大量の弁当らしきものを持ち込んでいるのを目撃した。こちらも夜食用に恐る恐る中華の折り詰めの持ち込みをトライすると、あっさり成功した。
さすがの商業五輪もトイレの中は征服できても、中国人の食への思いまでは規制できなかったようだ。(浅野哲司)