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ここから本文エリア 麻酔に医師立ち会わず2008年08月09日 ■協立病院意識不明 病院側が医療事故認める 青森市のあおもり協立病院(横田祐介院長)に入院中の男性患者が、7月に麻酔薬を投与された後、意識不明となっている問題で、同病院は8日、朝日新聞社の取材に対し、医療事故だったと認めたうえで事故の経緯を明らかにした。男性患者は主治医の指示を受けた看護師が麻酔薬「イソゾール」を投与した後、意識不明になったという。同病院では投与時に医師が立ち会うことをマニュアルで定めているが、この時は立ち会っていなかったという。 同病院の宮本達也事務長は取材に対し、「医療事故があったことは事実」とする一方、医療ミスの有無については「調査中」とした。 宮本事務長によると、事故が起きたのは7月10日。この日は、不整脈で入院していた青森市の70歳代の男性患者に対し、心臓の動きを正常にするための電気ショック治療が行われる予定だった。心拍数が下がる傾向があったためだという。 意識がある状態で電気ショックを行うと患者は恐怖を感じるため、循環器内科の主治医がイソゾールの投与を決めた。 主治医は同日、電子カルテで看護師に指示を出し、この日の午前中、看護師が1人でイソゾールを静脈注射で投与した。午後に電気ショック治療を行う予定だったが、麻酔薬の投与後まもなく、男性の心拍数が下がったことを知らせる警告が出た。医師や看護師が駆けつけて救命措置をしたが意識不明となり、現在も意識が回復していない。 看護師による静脈注射は、保健師助産師看護師法で、医師の指示のもとで行うことが認められている。同病院は法律より踏み込み、医師が立ち会って実施するというマニュアルをつくっていた。だが、この日、医師は立ち会っていなかったという。 また、主治医が指示を書いた電子カルテには、薬剤の名前、量、注射の方法などが明記されていたという。 薬剤の量や投与する時間、方法などに誤りがあったかについて宮本事務長は「調査中だが、現段階で明確な間違いは見つかっていない」とし、意識不明になった原因は「現在調査中」と話している。 同病院は事故があった7月10日、平岡友良副院長を長とする内部の事故調査委員会を設置。同14日に県医療薬務課と東地方保健所に口頭で報告、同月下旬には文書でも報告した。今後、外部の有識者を招いて詳細な事故経過を調べる。 ◇ 県は、今回の事故にかかわった看護師らから事情を聴くとともに、今月中に同病院へ立ち入り検査をし、医療ミスがなかったか調べる。関係者によると、立ち入り検査では電子カルテに記載された医師による看護師への指示内容などを調べるとともに、同病院で看護師に対してどんな教育が行われていたかなども確認するとみられる。
マイタウン青森
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