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2007-12-13
■[Text]マルチ商法の手法について詳しく分析してみた。
人はなぜマルチ商法にはまるのか?
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0712/11/news023.html
■[Text]マルチ商法に嵌ると、金や友達だけじゃなく自分の人生まで喪うぞ。
http://d.hatena.ne.jp/muffdiving/20061218/1166510303
丁度いい機会なんで、知ってる限り更に詳しく仕組みとかを補足しようと思う。200万アクセス行ったことだし。いつも閲覧ありがとうございます。
しかし最近の風潮は、別の問題を思い起こさせる。それは、今の流行商材が「情報商材を売るためのノウハウを提供する情報商材」であることだ。
そこには、本来の価値を有する「現物」の情報商品は存在しない。「売るためのノウハウを売る、ためのノウハウ」という複雑さは、お金を得るという1つの欲望によって固く結ばれた虚構である。
この虚構においては、“富”は「創造」されず、閉じた系の中で、単に“お金”が「移転」しているだけである。実体なきババ抜きゲームが行なわれ、最後の参加者が損をするというばかげた事態が起こる。
ここら辺は、今話題になってる「サンヨーメガ」の話だろう。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/10/news012.html
まあ、どう見てもマルチです。本当に(ryって感じなんだけどな。結構突っ込みどころがあるんで別のエントリで突っ込んでみようと思う。
マルチ商法とは何か? それは何が問題なのか? マルチ商法が問題なのは、端的にいえばそれが「他人の損失の上に、自らの利益を作る」仕組みになっているからだ。
ここら辺の見解は合ってると思う。
例えばあるマルチ商法では、最初は、ごく普通に商品を販売する。しかしその後で、商品を買った人に対して、その商品の販売会員(ディストリビューター)となるように誘う。ディストリビューターになったら、その商品を友人や周りの人に勧めれば自分にマージンが入るよ、と誘うのである。
ディストリビューターになると次は「実際に使ってみるまでは、人に薦められないよ」本部にささやかれ、自分が使う以上の商品を“在庫”として抱えることになる。なかにはディストリビューターに対して、ノルマを課す団体もある。
本部から見れば、ディストリビューターが増えるほど、大量の在庫がさばけて利益が出ることになる。しかしディストリビューター側は、限られたマーケットのなかで、それだけの量をさばく事は当然できない。その結果、いわゆる“流通在庫”がたまる状態になり、訴訟が相次ぐ。
アムウェイなんかはこの代表かなと。
ただ、注意しなければならないのは、この方法って、マルチ商法の一部の形態であって、他の形態もある。
いい機会なんで、それぞれの形態について簡単に説明する。
この引用にある形態は、一般的には「ブレイクアウェイ(ステアステップ)」方式をとる所に多い。
ここで、「ブレイクアウェイ(ステアステップ)」方式について説明する。
この仕組みの特徴は、まず、会員とその直接勧誘者を「グループ」として、そのグループ間での商品の流通量が上がるにつれて還元率が上がる仕組みになっている。
その上で、ある程度の稼ぎになると組織から独立して、その人自身のグループを作る仕組みになっている。
具体的には、こんな感じの流れになる。
1 自分はAさんから勧誘されてAさんのグループに所属する会員になって商品を買っている。
↓
2 商品買い捲って、親類縁者勧誘しまくって、自分が勧誘した人(顧客)も商品をたくさん買っている。
↓
3 自分の顧客がたくさん買ってくれるおかげで、売り上げが独立ラインを超えた!
↓
ざっとこういう流れになるが、Aさんの視点から見ると、こんな感じになります。
番号は前の流れにリンクしてます。
1 あいつ、頭悪そうだから落ちると思って勧誘したら、いいカモになってるよ。うしし
↓
2 あいつ、さらに下誘って稼いでくれるからサイコーだよな。カモじゃなくて鵜飼いの鵜だな。もっと魚捕ってくれよ。
↓
3 あいつ、売り上げ上がるのはいいけど、独立しないんだろうか心配だ・・・
↓
4 あいつ、俺が売りつけた恩を忘れて独立しやがった!あいつの下からの稼ぎがなくなりやがる。
ざっとこうなるわけです。
何故こうなるかといえば、「自分の下が独立したら、それ以降はそいつがカモにした顧客からの稼ぎがなくなる」仕組みになっているからです。
で、この仕組みの問題点は、まさにマルチ商法の問題点がそのまんま出ている感じです。
これから順を追って説明すると、こうなります。
・強引な勧誘がデフォルトになる。
この仕組みの場合は、まず「自分のカモを増やさねば稼ぎにならない」というのがあります。
それゆえに、勧誘もかなり強引になるわけです。
また、入ったのはいいけど、当初は「誰か」のカモになっているわけで、その「誰か」からの勧誘も強引になります。 その「誰か」も、更に上の人のカモなわけで・・・そこに残るのは、強引な勧誘のスパイラルですね。
さらにいえば、人間関係を切り売りしてるケースも多いんで、なかなか断れないってのもあったりとか。
何故そうなるかといったら、ここにはこんな理由があります。
・グループとして独立するため、もしくはグループを維持するためのノルマがかなり高い。
色々調べたら、アムウェイだったら240万、NSだったら30万が最低ノルマらしい。月商か年商かは良くわからんが、おそらく月商じゃないかと。要するに、独立したはいいものの、毎月コンスタントに稼がなきゃならんわけです。
人間関係は有限なわけで、強引な勧誘も底をつきます。
そうすると、こんなことになります。
・大量の在庫を抱えることになる。
ノルマが達成できなくて、はいそうですかという仕組みじゃないだろうし、ノルマ割ったら商品は自腹で買って売り上げに充当しなきゃならないわけですし、更に言えば、下のカモにもそれを押し付けるようになるわけで。それが捌けなきゃ下のカモも在庫を抱える・・・。在庫抱えた分は自分の持ち出しなわけで。
更に、下に在庫抱えさせたものの、結果的に下の売り上げが上がって独立された日には・・・。
そうなりますね。さらにいえばその手の借金で自己破産しても免責は結構微妙です。「やむを得ない理由」にはなりづらいんで。下手すると東尋坊で紐なしバンジーで越前カニの餌になるか、樹海で朽ち果ててキノコの養分になるかになりかねないです。
個人的に、ブレイクアウェイ方式は、こうした問題があると思いますね。マルチの問題を象徴してるというか。
この方法を取り入れてるところは、結構多いです。アムやニュースキン、ハーバライフなんかそうだし。
で、これらの問題を考えた仕組みが「ユニレベル」という仕組みです。
構造的にはブレイクアウェイに近い形ですが、大きく違う点は以下の点です。
・グループの大きさに関係なく、受け取るコミッションのレベルが均一になる。
要するに、いくら勧誘しても、自分のX段目までがコミッションの対象になるというわけです。
X段目の値は紹介者数によって増減する感じですが、基本的にはX段数<勧誘した段数になります。
この点のメリットは以下の通りです。
・要するに、もらえる金額が限られるので、強引な勧誘も比較的少なくなる。
一方、デメリットとしてはこんなのがある。
鞭もないかわりにアメも少ないからなあ・・・
で、上の二つと赴きが異なるのが「バイナリー」という仕組みです。
バイナリーには、次の特徴があります。
・自分の直下には、二人しか付けることができない。
要するに、n階層に所属する人数は2の(n-1)乗になります。
それ以降の紹介者は、規定数に満たない下のラインに割り振る形になります。
この仕組みの特徴はこんな感じです。
・最低現二人紹介すりゃ金が入る。
要するに、自分の下には二人しか付けられないわけで。
・3人以上紹介した場合は、3人目以降が自分の下の下に付くので、下の人の士気も上がる。
その辺で、マルチ初心者向きの仕組みではあるが、問題もないわけではないです。
・紹介した数より、自分がどの階層にいるかで、稼ぎが大きく変わる。
要するに、会員全体のツリーを作って、その上で分配する仕組みになる上、下の稼ぎが自分の稼ぎになる点は変わらないので、二人しか紹介しなくても、階層が上だったら稼ぎは大きくなります。
要するに、階層が5つあって、二人しか紹介しない第2階層の人と3人紹介している題3階層の人では、階層の下にいる人の数が前者のほうが多いんで、分け前も多くなるというか。
この仕組みで一番やばいのは、上の階層が下の階層引き連れて、他所のマルチをやるようになる場合ですね。
上も下も持ちつもたれつってトコがあるんで、一気にうつると、会社が傾きかねないってことです。
大きく分けると、マルチの仕組みは上の3つに分れるわけです。
で、上の3つに共通している問題はというと・・・
・必ず損するやつが現れる
ってことです。下の階層になればなるほど稼ぎにならないんで。
ということです。
まあ、俺はその手の商法は好きじゃないが、やりたいって奴はその辺の仕組み理解しないでやるってのは素人が海外商品先物に手を出すぐらいハイリスクであるってことは考えたほうがいいと思う。
で、長くなったけど、記事に戻る。
どのような言い訳をしようとも、マルチ商法の胴元は、「モノがいいならなぜ代理店制度をやらないのか?」という究極の質問に答えることはできない。なぜなら彼らの富の源泉は、価値の提供対価として受け取る利益でなく、その流通機構(=会員)の欲望を巧みに利用し、そこからお金を吸い上げることにあるからだ。
さらにいえば、会員は客であり、金払って営業しているわけだからなあ。胴元からすると、かなり美味しいわけです。営業にかかる人件費がいらないわけで。さらにいえば在庫も会員が持ってるからなあ。
では、なぜ人はマルチ商法にはまるのだろうか?
それは、自分(エゴ)の視点から、欲望というフィルターを通してものを見るからだ。マルチを回避するには、自分にとっての利益ではなく、システムの背景にある全体の利益構造に思いをはせる必要がある。その上で「これは社会全体にとって価値を“創造”しているのか? それとも富を“移転”させているだけなのか?」ということを、常識をもって判断すればいいだけだ。
マルチ商法は、なぜ販売実績に応じた複雑なランク制度と過酷なノルマを作る必要があるのか。なぜ自己啓発的なセミナーを開催し、個人の金銭的成功を煽り立てる必要があるのか。なぜ有名タレントや有名大学のドクターの名前をことさら大げさに喧伝する必要があるのか――これらの問いの答えを考えてみる必要がある。
これだけだと分析が甘いと思う。自分の欲望だけじゃ他人は動かないんで。
自分の欲望を正当化する「大義名分」が不可欠だと思う。で、胴元は色んな形でそれを用意してるわけだ。
例えば、品質云々もそうだし、社会福祉活動云々だってそうだ。マルチ商法やってる会社って、結構社会福祉活動を前面に出してるところが多い。サンヨーメガだってそうだ。
マルチ商法に多い業界見れば一目瞭然だが、食品系や健康補助食品系や化粧品系がやたら多い。
それらの商品の特徴としては、「あくまでも効果を確認するのは個人の主観に依存するところが大きい」ってところだ。要するに、「思い込みが絶対的な価値になりやすい」傾向にある。その思い込みのブースターとして有名タレントや有名大学のセンセイの名前が使われるわけで。「自分がいいと思ってたけど、有名大学のセンセイもいいって言ってたからそれはホンモノだわ」という大義名分にならない大義名分を与えてしまってるわけだ。
そして、社会福祉活動も「大義名分」になる。「自分が稼いだ金が世の中の人の役に立ってるんだわ」と思わせるには十分なわけだ。大抵の奴は、自分が迷惑かけた100人は覚えてなくても、自分が役立ったことは殊更に覚えるわけで。要するに、イラク攻め込んだブッシュの心境ってわけ。
なので、さらに言えば、「大義名分」を疑う視点も必要だ。「確かに福祉活動やってるけど、それ以上に泣かせてる人も多いんじゃないか」とか「品質は確かにいいけど、他にもっと安くていいのがあるんじゃないか」と。それって、常に自分の立ち位置が正しいかどうかっていう疑問を持ち続けることなんだけどね。
自己啓発的なセミナーや過剰な金銭的成功の煽りについては、こんな要素があるからやっている。
一言で言えば、「マルチの世界への囲い込み」と「稼ぎのいい者に対するニンジンと下の奴に与える希望」だろう。
大抵、はまってる奴は、マルチやってる仲間以外の人間関係を喪うことが多い。そうなると孤立するわけで。孤立すると自分の立ち位置を疑うようになるんだが、それを引き止めるのが「セミナー」だ。
要するに、はまってるお仲間の内輪に囲い込んで、そこでしか成功するしか道はないように仕向けるわけ。
新興宗教のセミナーと一緒。要は宗教仲間がマルチ仲間に代わったわけで。まあ、金が絡むしややこしい人間関係になってるんで、抜けるのが大変だけどな。抜けたら脱会者に対するバッシングもある。どこかの宗教団体と良く似てるだろ?
そして、成功への煽りは、これは歩合制の営業現場あたりによく見受けられることで、「稼ぎのいい者に対するニンジン」と「下の奴に対する希望」を与えてるわけだ。かりそめのな。
そこから抜けるには、なるべく視界を広く持って、自分の立ち位置を疑うのが必要だと思う。
あとは、まともな知人なら、決してモノを売りつけないということを意識することと、そういう奴と縁を切っても割り切れる強さかな。
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