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社説2 「難民鎖国」を打破しよう(8/10)

 政府は難民受け入れの枠組みを広げる方向で検討に入った。日本の難民受け入れ数は先進国の中で際だって少ない。このため日本は、人道問題に冷淡で国際的責任を果たしていないと批判されてきた。「難民鎖国」と呼ばれる状況を改め、受け入れを早急に拡大することが望ましい。

 現在の制度は、日本まで自力でやって来て難民としての保護を申請した外国人だけを対象としている。受け身の姿勢と言わざるを得ない。

 これに対し法務省や外務省など11省庁が共同で研究している「第三国定住」の枠組みでは、母国の周辺などですでに難民生活をしている人たちの中から、特に日本での保護が適切な難民を選んで受け入れる。従来より積極的な対応といえる。

 この枠組みなら、キャンプ生活で精神的に追いつめられた難民や病気の難民など、より手厚い保護が緊急に必要な人々を優先的に受け入れられる。近隣国からの難民を多く抱えるタイやネパールなどの経済的、社会的負担を和らげる効果もある。アジアで初の「第三国定住」の枠組みを導入することで、日本の国際的イメージが改善する意味も大きい。

 ただ、難民を支援している非政府組織(NGO)の間では「第三国定住の導入は望ましいが、既存の枠組みでの難民受け入れ手続きの改善も加速してほしい」との声がある。

 昨年、日本が難民として認定したのは41人。主要7カ国(G7)の中で1000人未満は日本だけである。ほかの主要国と比べると、2ケタも3ケタも少ないわけだ。「日本の審査担当者は難民の本国の事情を十分に理解せず、難民に認定すべき人まで排除している」と指摘する関係者は多い。審査のあり方が適正か、政府は改めて検討すべきだろう。

 審査期間が長く、その間に認定申請者に十分な保護を提供せず就労を禁止していることも批判の的になっている。早急な改善が望ましい。

 日本語教育や就労支援など、難民として受け入れてからの「アフターケア」も十分ではない。これは外国人労働者や中国から帰国した残留孤児らにも共通する課題だ。政府は自治体や企業、NGO、教育機関などと緊密に連携し、広い視野から解決策を探る必要がある。

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