北京五輪が開幕した。二十四日まで、28競技302種目で世界のトップアスリートたちによる熱いドラマが繰り広げられる。
「鳥の巣」の愛称を持つメーン会場で行われた開会式。中国五千年の悠久の歴史と文化をアピールした壮大なアトラクションに目を奪われた。二千八人が太鼓をたたき、孔子の名句「朋(とも)あり遠方より来る、また楽しからずや」を繰り返し叫びながら幕開け。フィールド上には巨大な「巻物」が広げられた。
古代から現代まで、光と色彩による華麗な歴史絵巻が流れるように展開。「和」のメッセージも発せられた。最後には「地球」が出現し、大会スローガンの「一つの世界、一つの夢」が表現された。
史上最多の二百四の国・地域から参加した選手団が入場行進すると観客とも一つに溶け合った。旗手を務めた卓球の福原愛選手を先頭に、二十三番目に登場した日本選手団もにこやかに手を振り歓声にこたえる。夜空を彩る華やかな花火の迫力にも圧倒された。
チベット騒乱、聖火リレーの混乱など、開幕前からこれほど世界の注目を集めた五輪もまれだ。大会成功に国家の威信をかける中国当局は、テロを懸念して厳戒態勢を敷く。
緊迫した空気が漂うが、「平和の祭典」が平穏に進行し、感動のドラマが共有できることを祈りたい。