白鵬に秒殺された！弱すぎる朝青龍

７６日ぶりの朝青龍（左）と白鵬の対戦に観客も盛り上がったが、あっけない結末に…

　左ひじのケガで名古屋場所を途中休場した横綱・朝青龍（２７＝高砂部屋）が９日、宮城・仙台市で行われた夏巡業で取組に復帰した。夏場所千秋楽でにらみ合いを演じた白鵬との７６日ぶりの対戦に注目が集まったが、朝青龍が一方的に寄り切られるとファンからは大きなため息が漏れた。休場明けとはいえ、精彩を欠く内容は今後の不安を感じさせた。

　なすすべなく土俵を割った朝青龍に観客の反応は冷たかった。７６日ぶりの横綱対決がわずか５秒で決すると、重苦しい空気が館内に充満。「えーー」「何だあ〜」。花道を引き揚げる敗者の背中に失望の声が突き刺さった。

　前日の秋田巡業で小結・稀勢の里らと申し合いを行い、動きをチェックした巡業部から取組の復帰を強制された朝青龍は、この日の朝稽古で安馬らと５番の申し合いで全勝。痛めている左手を使って投げ捨てるなど復調の兆しを見せていた。そして取組では夏場所千秋楽の土俵でにらみ合いを演じた白鵬と対戦。「巡業は巡業なので。（横綱対決を）お客さんも楽しみにしているから」と仕切りから緊張感を漂わせていた。しかし、白鵬にあっさりと左上手を許すと、相手の上手投げで揺さぶられて戦意喪失。最後は自分から力を抜くように後退した。

　「久しぶりだし、まだ手探りだから順調に取れるようにならないと。力を出せるところまで出し切ってやるしかない。冷静に無理しないように」。無抵抗の敗戦は、この日の取組を強要した巡業部への“無言の抵抗”にも映った。ただ、休場明けとはいえ、横綱昇進後稽古をおろそかにしたツケが回り始めているのも事実。最近では関係者の間で限界説すらささやかれている。帰り際に「ひじも少しずつ良くなっている。あすからも割（取組）に入るよ」と意欲を見せたが、復活への道のりは予想外に厳しいかもしれない。