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【神奈川】

7月事故の検査直前発生 原発燃料工場被ばく事故 管理体制に疑問の声

2008年8月9日

被ばく現場で保安検査官(青い服)に説明するGNF−Jの技術者ら。左下の穴からウラン溶液が飛散した=横須賀市で

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 原発の燃料製造会社「グローバル・ニュークリア・フュエル・ジャパン(GNF−J)」(横須賀市内川)工場内で八日午前に起きた被ばく事故は、一カ月前の被ばく事故に関して横須賀原子力保安検査官事務所が検査する直前に発生しており、関係者からは「どんな管理体制なのか」との声が上がった。 (田中秀樹)

 同事務所などによると、「エアモニターの警報が発報している」と、同社事務棟にある会議室に事故の報告があったのは午前九時四十分すぎ。会議室では、七月九日に発生した事故の報告を受ける原子力保安検査官らが着席したばかりだった。

 同社が事実確認を急ぐ中、会議室では、微量のウラン粉末が飛散し、男性作業員が被ばくした七月の事故当時の勤務状況や、社内教育の様子などが説明されたが、同十時ごろになり、今回も被ばく事故だったことが確認された。

 その場で、ウランを含む溶液が飛散したことによる事故だったことや、被ばく者の様子など詳しい事故状況、午前中に社内を見学している福島県内の小学生らへの対応などが、検査官に伝えられたという。検査官は「人員配置などに問題はないのか、見直した方がいいのではないか」と同社に注文を付けたという。

 この検査官は、事故後に見学者が入ったことについて、「本当なら帰したほうがよかったのではないか」とし、「二回の事故とも人為的ミスとみられ、氷山の一角として今後も事故が起こる可能性があり、厳しくチェックしていく」と話している。同事務所は、今回の事故について八日に立ち入りし、週明け以降、あらためて検査する方針。

    ◇

 同社は八日夜、報道陣に被ばく現場を公開し、事故状況を説明した。

 それによると、同社は事故発生の約一時間後の午前十時半、福島県双葉町立小学校二校の六年生児童と保護者ら五十四人を見学者通路に案内。被ばく現場の工場一階とコンクリート壁一つ隔てた見学者通路で約一時間、ガラス越しに工場内を見学させた。案内した社員が見学終了時の午前十一時半ごろ、引率の同町職員に、事故の発生を説明したという。

 見学者通路に放射性物質が漏れる可能性について、同社は「空調が働いているため、工場内部は見学者通路より気圧が低く、放射性物質は漏れない」と説明。一方、見学者に見学前に説明しなかった点については「見学前に説明すべきだった。帰り際、町職員には安全と理解してもらったと思っている」と話している。

  (松平徳裕)

 

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