【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領は9日、グルジア軍が進攻した南オセチア自治州の現状を「人道上の大惨事」と指摘し、負傷者の手当てや避難民の受け入れなどの人道支援に全力を挙げる意向を表明し、隣接するロシア領の北オセチア共和国にショイグ非常事態相を派遣した。ラブロフ外相も8日、グルジア軍の攻撃を「民族浄化」と指摘するなど、ロシア側はグルジアの行為の非人道性を内外にアピールする作戦に出ているようだ。
ロシアのテレビは8日から、ロシア軍が撮影したとみられるツヒンバリ市内の模様を放映し始めた。ミサイル攻撃で破壊しつくされた住居は黒く焦げ、戦火のすさまじさを物語っている。
また南オセチアからの避難民がバスなどで次々に北オセチアに到着し、負傷者は首都ウラジカフカスの病院などで手当てを受けている。ロシアのソビャーニン副首相は9日、この2日間で3万人以上の避難民がロシア領に運ばれ、戦闘開始前に脱出した避難民と合わせるとその数は5万人に上ると表明。ロシア非常事態省は移動式病院を北オセチアに空輸した。
一方、南オセチア独立派政府のメドーエフ駐露代表は8日、モスクワで記者会見し、グルジア軍の進攻を「民族浄化が狙いだ」と非難。独立派支配地域の多数派オセット人を追放し、グルジア人が占有することを狙っていると訴えた。
【関連ニュース】
福田首相:グルジア軍事衝突「たいへん憂慮」
グルジア:南オセチアの独立派「1400人以上死亡」
グルジア:露に戦闘部隊撤退を要求 米国務長官
グルジア:停戦目指し合同使節団派遣 EU、米など
グルジア:国連安保理の協議は物別れ 露と米英仏対立