「【外信コラム】北京春秋　中国加油！」の記事詳細：イザ！

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　中国語で「頑張れ」は「加油（ジヤーヨウ）」と書く。「燃料の油を加えよう」という意味で、ひとを激励するときに使う。今年になってから中国でもっとも耳にした単語は、この「加油」かもしれない。

　４月に世界各地で行われた北京五輪の聖火リレーが、チベット騒乱での中国政府の対応に反発した人権団体などの抗議を受けたとき、「中国加油！」「奥運（五輪）加油！」は中国の若者の合言葉となった。

　愛国心に燃えた留学生らは、それが書かれたＴシャツを着て、長野やソウルなど外国の都市を中国国旗で赤く染めた。まるで中国が被害者のように傍若無人に振る舞う彼らの姿は、現地の人々に強烈な印象を与えた。

　５月に四川大地震が起きると、「四川加油！」「●川（ぶんせん）（震源地）加油！」がにわかに登場した。国の指導者、キャスター、歌手などはこの言葉を大合唱し、「天災と勇敢に闘うたくましい被災者たち」を演出する番組が連日、テレビに流れた。

　この「加油」の掛け声は、学校の手抜き工事をはじめ、被災地が抱えるさまざまな問題をかき消したような気がした。政府への不満をそらし、国民の心を一つにまとめるために、「加油」は国家権力にとって実に都合のいい言葉のようだ。（矢板明夫）
●＝さんずいに文

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