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ペットの持ち込みを推奨する高齢者介護施設が増加
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米サンディ・スプリング(メリーランド州)の高齢者介護施設Brooke Grove Retirement Village(退職者ビレッジ)に、初めて猫を連れた女性が入居してきたとき、スタッフの一部は懐疑的であったという。同施設はアルツハイマー病患者のケアを専門としており、女性は徘徊(はいかい)のみられる初期の認知症であった。スタッフは女性が猫に餌を与えるのを忘れないよう手助けしなければならず、当初は、自分の仕事は動物の世話ではないと憤慨するスタッフもいたと看護師はいう。
しかし、その猫が女性にもたらすあらゆる利益を目の当たりにし、次第にスタッフの考えが変わってきた。今ではしつけのよいペットを連れての入居や、ペットを新しく飼育することを積極的に勧める施設は増えてきており、同施設もその1つであるという。
介護施設に居住する高齢者にペットとの触れ合いを勧める取り組みには、多くの利益がある。カリフォルニア州を拠点に17カ所の高齢者介護施設を運営するSilverado Senior Living CEOのLoren Shook氏は「ペットを飼うことにより、抑うつや不安が軽減され、生きることへの関心が戻ってくる」と述べている。多くの友人がこの世を去っていくのを見送った入居者は、自分の犬や猫を友達や家族のように考えること多いという。また、米国疾病管理予防センター(CDC)によると、ペットの飼育が血圧やコレステロールの低下、孤独感の軽減、人と関わる機会の増加などに有用であるという。
Silveradoの入居者1,030人のうち約10%がペットを連れて入居しており、スタッフがペットを連れてくることも多い。ある施設では、食事や会話をしなくなった男性が、施設で飼われていたアッシャーという名のラブラドル犬と触れ合うことにより、食事を摂るようになり、ほかの入居者とも話をするようになった。また別の認知症の女性は、会話をしなくなったため、スタッフが猫をひざに乗せると、1週間ほどで猫に話しかけるようになり、ほどなく娘と一緒に競馬場に行き、好きな馬を応援するまでになった。
Grooke Grove副所長のDennis Hunter氏は「介護施設でもできる限りこれまでどおりの環境を維持することが重要だ」と述べている。多くの人にとって、ペットもその中に含まれる。Shook氏によると、入居者が亡くなっても、ペットの面倒はきちんと見ているという。「家族が引き取ることができないときには、スタッフが引き取るか、施設で飼うか、またはよい引き取り先を探している」と同氏は説明している。
(HealthDay News 7月24日)
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