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愛知県弁護士会 会員アンケ6割超「反対」 ――あなたも裁判員

176人の回答分析、対応に苦慮

 来年5月から始まる裁判員制度について、愛知県弁護士会が会員の弁護士を対象に実施したアンケートで、6割以上の回答者が制度に「反対」していることが分かった。裁判の迅速化が、被告側の権利の侵害につながる恐れがあると指摘する声が多い。結果を受けて、会員の間からは「弁護士会として制度見直しを求める声明を出すべきだ」との意見が出ているが、「混乱を招きかねない」との慎重論もあり、弁護士会内でもアンケート結果の取り扱いを巡って議論になっている。

 日本弁護士連合会によると、「都道府県弁護士会によるアンケートは、初めての試みではないか」としている。

 アンケートは、弁護士会の司法問題対策委員会が、会員の弁護士1171人を対象に、7月末を期限に回答用紙を配布、記名式で実施した。

 同委員会によると、先月24日までに176人の回答があったが、賛成が48人(27・3%)にとどまったのに対し、反対は115人(65・3%)。月末までに届いた数十人分の回答を集計中だが、賛否の比率はほぼ同じだという。

 裁判員が加わる裁判では必ず実施される「連日開廷」を巡り、不安を訴える回答が多く、具体的には、「十分な審理が期待できず、被告の権利が侵害される」(96人)、「仕事が短期間に集中し、弁護活動が十分に行えない」(79人)などの意見が目立った。反対したうちの約6割が「直ちに廃止すべき」と回答。賛成派でも、約15%が「実施を延期すべき」と答えた。

 同委員会は、「日ごろから刑事事件の弁護に取り組んでいる弁護士からの回答が多く、結果は会として重視するのが当然」とし、今後、制度見直しなどを求める声明をまとめ、会として採択するよう求める方針だ。ただ、弁護士会内部には、「制度の実施はすでに決まっており、(反対行動は)会員に不安を抱かせる」「制度の実施を前提とした声明にすべき」との声もある。回答数が少ない点を指摘する意見もあり、会としての対応は流動的という。

2008年8月4日  読売新聞)
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