【北京8日椛島滋】福田康夫首相は8日、北京五輪開会式出席に先立ち、胡錦濤国家主席、温家宝首相と北京で個別に会談した。日中首脳会談は、7月の北海道洞爺湖サミット以来。会談で胡主席は中国製ギョーザ中毒事件について「できるだけ早く解決するよう全力を挙げる」と表明した。
福田首相は胡主席に、同事件で製造元の天洋食品(中国河北省)の冷凍ギョーザを食べた中国人が中毒症状となったことを受け「日本国民のこの問題への関心は非常に高い」と早期解決の必要性を強調。首相はさらに、消費者の不安解消の観点から情報開示の重要性を訴えた。会談後、記者団に「胡主席は真剣に耳を傾けていた。(真相解明は)進展すると思う」と述べた。
温首相との会談では、新疆(しんきょう)ウイグル自治区での日本人記者暴行事件に福田首相が遺憾の意を表明したのに対し、温首相は「事件を重視している。日本人記者の安全を確保したい」と述べた。
一連の会談では、両国が幅広い分野で共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を一層強固にすることが、アジア太平洋地域の安定にも役立つとの認識で一致した。
また、11日から中国・瀋陽で始まる日朝実務者協議に関連し、拉致問題の解決を北朝鮮側に働き掛けるよう要請。胡主席は「日朝関係が対話を通じて改善し、関連問題が解決されることを支持している」と述べた。
福田首相は開会式終了後、北京空港から航空自衛隊U4多用途支援機で長崎に向かい、9日の長崎の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席する。
=2008/08/09付 西日本新聞朝刊=