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【主張】不登校増加 安易な欠席容認はやめよ
小中学校の不登校の児童生徒が、昨年度は約12万9000人にのぼり、2年連続で増加した。中学では各クラスに1人はいる計算だ。どの学校も抱える問題で、学校と家庭が連携を密にして対策をとる必要がある。
文部科学省の調査で、不登校は平成13年度の約13万9000人をピークに、いったんは減少傾向にあった。
今回、増加した要因について教育委員会の回答で気になるのは、「嫌がる子供を学校に無理に行かせることはない」など、安易に欠席を認める保護者の意識変化が指摘されたことである。
一昨年、いじめによる自殺事件が相次ぐなどし、親の学校不信が影響しているとみられる。この風潮が広がるのは心配だ。
学校生活は勉強だけでなく、教師や友達と集団生活を送る大切な時間だ。子供が「行きたくない」というだけで安易に認めてしまっては親の責任放棄だろう。
調査では、基本的生活習慣が身についていないことなど、家庭の教育力低下を指摘する回答も多かった。学校不信の前に家庭の役割やしつけを見直してほしい。
専門家によると、不登校は早期対応が重要だ。欠席が長引けば、ますます学校へ行きづらくなり事態は悪化する。小中学校時代の不登校から、大人になっても引きこもりが続くケースさえある。
親や教師は不登校の子供に、はれものに触るような対応をしがちだ。親は部屋にこもったままの子供に言葉もかけず、学校側は子供の家庭訪問もしない指導放棄のようなケースが目立つ。
保護者も「うちの子を刺激しないで、放っておいて」と学校側の接触を拒むこともある。学校と家庭のつながりを絶てば、相互不信が募る結果にもなる。
文科省も不登校対応を見直しはじめた。同省は平成4年に「無理に学校復帰を促すと逆効果の場合もある」との見解を示したが、学校現場が不登校に消極的対応をする一因ともなり、その後は専門家会議が個別事情に応じた積極的な働きかけを求めている。
教委からは「人間関係をうまく構築できない」「無気力で何となく登校しない」など最近の子供の変化を指摘する回答もあった。
学校と家庭は日常の指導、しつけにしっかりと責任を持ち、子供の変化や問題の兆候を早期に見つけて対応をしてほしい。