インドネシアから、日本で働く看護師、介護福祉士の候補、200人余りが来日した。高齢化が進めば看護、介護に外国人の助けを借りなくてはならないだろう。永く働いてもらえるよう温かく迎えたいものだ。
今回の来日は二国間の経済連携協定に基づいている。協定では介護福祉士を当初の2年間で600人、看護師を同400人受け入れる予定。日本で資格を取れば無期限に働ける。
しかし入国の条件が厳しい。看護師は母国の看護師の資格を持って2年以上の実務経験があり、来日後は3年以内に日本の看護師の国家試験(日本語)に合格しなければならない。介護士も高等教育を終えて母国で介護士と認定されたか看護学校を卒業した人を対象とし、来日後、4年以内に日本の国家資格を取るよう義務づけている。期限内に合格しないと帰国しなくてはならない。
初年度に看護と介護で200人余りにとどまった原因の1つは、こうした条件の厳しさにあるようだ。条件が日本より緩いカナダや英国に行きたがる人が多いともいわれる。
条件を厳しくした理由には日本の看護師団体などの反対がある。国内では、看護師資格を持ちながら勤務に就いていない人が50万人以上いる。また介護については介護保険制度の不備もあって給料が低く、人が集まりにくい。家庭に入った元看護師の職場復帰支援や、処遇の改善によって、日本人に働いてもらうのを優先すべきは当然である。
しかし長い目でみれば、かなりの数の外国人に協力してもらわざるをえないのではないか。フィリピンとも同様の経済連携協定を結んだが、こうした内容では「日本で看護師、介護士として働けるという期待を持たせ、実際は低賃金で3―4年、便利に使う」結果となる可能性も大きい。国の信用にも響きかねない。
二国間協定のない国から来た人は看護師資格を取っても7年間しか働けない。このため評判の良いベトナム人の看護師が何人も帰国した。二国間協定のない国から介護士としては日本に入ることさえできない。
政府は外国人受け入れ拡大を検討中だ。入国の条件や教育体制、給与などあらゆる面で温かく迎えないと、良い人は来てくれないだろう。