天草市の縫製工場2社で過酷な労働を強いられたとして実習生だった中国人女性4人が、勤務先と受け入れ窓口の協同組合(小国町)、監督責任がある国際交流協力機構(JITCO)に未払い賃金など(約3600万円)の支払いを求めた訴訟で、熊本地裁(高橋亮介裁判長)は8日、未払い賃金の支払いを求めた原告側の仮処分の申し立てを却下した。
原告弁護団によると、外国人実習生の未払い賃金訴訟をめぐる仮処分の申し立てに裁判所が判断を示したのは、全国で初めて。
高橋裁判長は「原告は日本での訴訟継続で生活が困窮していると主張しているが、帰国しても代理人を通じた訴訟の継続は可能。仮処分決定をしなければならない緊急の理由はない」などと述べた。就労が禁止されている来日1年目の研修生時代の労働に関しては、原告4人が労働者に当たるかどうかの判断は避けた。
この後、原告らは熊本市の県弁護士会館で記者会見を開き、弁護団の小野寺信勝・弁護士は「実習生の実態に全くそぐわない不当な決定」と怒りをあらわにした。原告の1人、谷美娟さん(21)は「今の生活はとても苦しいが、本訴は勝つと信じて頑張りたい」と述べた。
訴状によると、女性4人は、2006年4月に受け入れ窓口の協同組合から派遣され、1年目の研修生のときから時給約250円で1日10時間以上働かされたなどとしている。
=2008/08/09付 西日本新聞朝刊=