大阪市地下鉄「痴漢でっちあげ」事件 被害者を装った女に懲役3年執行猶予5年の判決
2008年2月、大阪市の地下鉄で会社員の男性を痴漢にでっち上げたなどとされる無職の女に対し、大阪地裁は、懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。
国分和夫さん(59)が痴漢にでっち上げられてから事件からおよそ半年。
痴漢にでっち上げられた国分和夫さんは「自分自身もしっかりとせんといかんなと、しみじみと思っているところですけどね。被告台の方に、逆にわたしが立っていたと思ったら、身の毛がよだつ思いです。(あの時を思い出しますか?)裁判を傍聴している中で、脳裏に浮かんできますね」と話した。
2008年2月、甲南大学の元学生・蒔田文幸被告(24)と阪田 真紀子被告(31)が、大阪の地下鉄でうその申告をし、国分さんを痴漢にでっち上げた事件で、8日、実際に被害者を装った阪田被告に対する注目の判決が言い渡された。
これまでの公判では、阪田被告の母親が涙声で証言した一方、2人がさらに国分さんの事件後にも、痴漢でっち上げを画策していた事実が明らかにされている。
検察は、厳しい処分が必要だとして、阪田被告に懲役4年を求刑し、8日、判決の日を迎えた。
午後2時半、裁判を見守りたいという国分さんは、大阪地裁へ向かった。
国分さんは「(阪田被告の)自首が、解放の第一の決め手だったと。裁判を傍聴している中で思いました。できたら親の元で(うつ病の)治療に専念してほしいというのが本当の気持ちですね。検察側からは、社会的な反響も大きいから、4年って断罪してましたけど、できたら執行猶予になるのを望んでいますけどね。(阪田被告は国分さんを助けた人物だと思います?)そこがまだね...、自分の中でももやもやしているですけど、正直なところ、解決の糸口になったのは(自首が)取り調べの中では一番のポイントだったではないかと思っている」と話した。
大阪802号法廷で阪田被告に言い渡された判決は、懲役3年執行猶予5年だった。
青ざめた表情で黒のスーツ姿で入廷した阪田被告は、裁判官の判決の言い渡しを下をうつむきながら、身動きもせず聞いていた。
裁判長は、主文の言い渡しに続き、判決理由を「痴漢えん罪の虚偽告訴については、社会に与えた影響が大きい。以上の事情から、厳罰を持って臨むのがふさわしい」と述べた。
一方で、裁判長は「被告人はうつ病が悪化し、そこに蒔田被告がつけ込み、蒔田被告に精神的に依存状態だったと認められる。しかし、生活ぶりや過去の生活にも犯罪傾向はまったく見られない」と指摘した。
裁判官は、3つの事件に関し、計画的で巧妙、かつ、悪質であると断じながらも、阪田被告がうつ病が悪化し、そこに蒔田被告がつけ込み、今回の事件が起きたと認めた。
判決文を読み上げた裁判官は最後に、「執行猶予の意味はわかりますか、執行猶予というのは、謹慎であると思ってください」と阪田被告に語りかけた。
阪田被告は、裁判長の問いかけにうなずいた。
執行猶予付きの判決が阪田被告に言い渡されたことに対し、国分さんは「流れの中で傍聴してるんですけど、反省の色も十分あったかなと。病気を治して、社会復帰してもらうのが、わたしの今の願いですね」と語った。
阪田被告の謝罪を受け入れたという国分さんだが、蒔田被告に対しては「気持ちの中では、蒔田被告に対して許す気持ちは今はないですね」と語った。
蒔田被告の次の公判は、9月に予定されており、国分さんは傍聴を予定している。
(08/08 18:18 関西テレビ)