国内初、HIV夫婦へ生殖補助医療
厚生労働省の「周産期・小児・生殖医療におけるHIV感染対策に関する集学的研究班」メンバーの花房秀次氏(荻窪病院副院長)は7月28日に開催された公開班会議後の記者会見で、共にHIVに感染した夫婦への生殖補助医療を来月にも国内で初めて実施する考えを明らかにした。
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花房氏は会議後、「それぞれの医療機関で個別に生殖補助医療を実施することについて、会議の参加者らから認めてもらったと認識した。自信を持って実施したいと考えている」と述べ、会議の内容を29日に夫婦に伝えた上で、来月にも実施する意向を示した。
共にHIV感染者である夫婦への生殖補助医療の実施については、昨年1月に荻窪病院の倫理委員会で2組の夫婦について承認された。しかし、こうしたケースでの生殖補助医療に関しては、この時点では世界的なコンセンサスが得られておらず、花房氏らは幅広い議論が必要として、実施計画を研究班に提出。
昨年5月、研究班で容認されたが、実施の条件として公開シンポジウムを開催した後、日本産婦人科学会の承認を得ることが必要とされた。
これを受けて、花房氏らは昨年から今年にかけて、北海道、東京、神奈川などで公開シンポジウムを開催。昨年11月にはエイズ学会で報告、検討した。
一方、厚労省には昨年10月、実施に対する慎重な意見が寄せられ、同省は東西のHIV薬害訴訟原告団を含めた公開班会議の実施を求めた。また、厚労省研究班評価会議も今年3月、「実施について慎重であるように」と花房氏らへ要請。こうした流れを受けて公開班会議が開かれた。
花房氏は、既に日本産婦人科学会から承認を受けていることを明らかにし、「今回の公開班会議の開催で求められてきた条件はすべてクリアしたと考えている」と述べた。
一方で、今後は夫婦の生命予後が悪い場合などさまざまなケースについて検討が必要だとして、今後は倫理学者などを交えて議論していく考えを示している。
更新:2008/07/29 11:52 キャリアブレイン
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