話題

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

みんなのニュース:楠木正成は「悪党」? 踏絵は「絵踏」? 教科書記述びっくり変化

これで相手の年代がわかっちゃう?「いつのまにか変わってる地理・歴史の教科書~あなたの知識はもう役にたたない」
これで相手の年代がわかっちゃう?「いつのまにか変わってる地理・歴史の教科書~あなたの知識はもう役にたたない」

 日本史の勉強で「いい国(1192年)つくろう……」と鎌倉幕府の成立年を覚えた人は少なくないはず。それが、現在の教科書では通用しない“非常識”になっていることをご存じだろうか。このような教科書記述の昔と今をまとめた「いつのまにか変わってる地理・歴史の教科書~あなたの知識はもう役にたたない」(毎日コミュニケーションズ、1365円)が出版された。学生時代に習った内容との違いに驚いたり、答えの違いによるジェネレーションギャップを楽しめそうだ。

 この本は歴史編と地理編に分かれ、計38の新常識を掲載。シェアの高い東京書籍、山川出版社、実教出版の高校生向け教科書を発行年ごとにチェックした。例えば「十七条憲法を作った人物の名前」は50代の人が習ったころは「聖徳太子」だったが、40~20代では「聖徳太子(厩戸皇子)」、10代が使う現在の教科書では「厩戸皇子(聖徳太子)」と変化。また、後醍醐天皇に従って戦死した南北朝時代の武将、楠木正成についても、荘園領主に対抗する勢力を指す当時の呼称「悪党」、または悪党を結集した人物として記述されるようになったという。

 鎌倉幕府の成立年については、平家が壇ノ浦で滅亡した「1185年」など、さまざまな説があるという。教科書でも源頼朝が征夷大将軍に任じられた「1192年」だと断定せず、段階的に支配を強めていったことを淡々と記すのが主流になっているという。

 著者で著述業・研究者の加藤ジェームズさん(30)によると、塾のアルバイト講師をしていた03年10月、小6の男児から「先生、絵踏(えぶみ)ってさ……」と質問され、「踏絵のことね」と返したが「教科書では違う」と指摘されたことが調査のきっかけ。教科書図書館(東京都江東区)に通いつめ、用語や表記の変更を調べ比較した。ちなみに「絵踏」は江戸幕府がキリスト教徒を見つけるための「行為」、「踏絵」はそれに使った道具というように使い分けられているのだとか。

 それでは、なぜ、記述が変化したのか。(1)新たな発見などによる事実の変更(最も古い鋳造硬貨:和同開珎→富本銭)、(2)学会等での表記変更を受けた変更(帰化人→渡来人)、(3)学会等でも諸説ある中での記述の変更(鎌倉幕府:1192→1185?)、(4)表記に対する読みの変更(百済:くだら→ペクチェ)--の4パターンに分けられる。

 加藤さんは「高校までの教育が、多くの人にとってその人の知識・常識になるため、これほど多くのジェネレーションギャップがあることに驚いた。他の教科も含め、今後も調査していきたい」と話している。【浜田和子】

2008年8月5日

検索:

話題 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報