教育界が揺れています。大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件をきっかけに、採用試験で特定受験者の合否について、地元議員らに個別連絡していたケースが全国で次々と明らかになりました。
採用担当者が商品券を受け取ったとして収賄罪に問われた大分県のケースは論外ですが、岡山、広島県教委でも合否の事前連絡が慣例的に行われていました。いずれも「口利きや金品の授受はない」としていますが、公正であるべき採用試験では“李下(りか)に冠を正さず”の姿勢が求められるはず。疑いを招きかねない行為と言われても仕方ないでしょう。
こうした問題の根底には、教育行政の閉鎖的な体質もありそうです。教育は地方自治の原点の一つとされながら、文部科学省を頂点に、都道府県、市町村を経て学校現場まで縦系列でつながり、教育課程を含めて“中央統制”が続いてきました。いきおい外部の目は届きにくくなります。
政治部では先週のエリア総合面で、二〇〇九年度から移行措置期間がスタートする小中学校の新学習指導要領を三回の企画で取り上げました。「脱ゆとり教育」をはじめとする今回の教育改革にしても、地方の発想といった視点に欠け、押しつけの感は否めません。
学力低下問題や児童生徒による殺傷事件、教員のわいせつ行為による不祥事などで、学校教育への信頼は揺らいでいます。今回の問題を機に、教員採用試験の透明性、公平性を高めることを信頼回復への第一歩とすべきです。
(政治部・桑原功)