海の厄介ものエチゼンクラゲを中華料理の食材に替えてしまう。金沢の企業が手掛ける取り組みは、絵に描いたような一石二鳥の試みである 日本海で大量発生し、漁の邪魔を続けた揚げ句、寿命を終えると海底で腐敗して汚染の元凶にもなる嫌われものである。それが、中国で高級食材として重宝されているクラゲと同種であることに着目したのが、新しいビジネス 漁師に嫌われるエチゼンクラゲも、水族館では引く手あまたの人気者だと教わった。あの独特の「水中泳法」が見る人の心を癒やすのだという。厄介ものという固定観念にとらわれずに物事を見ることの大切さを、中華食材ビジネスのアイデアも教えてくれる 近年降ってわいたようなエチゼンクラゲの大量発生の原因は、まだ突き止められてはいない。が、中国沿岸で急激に進む海洋汚染が引き金という説が有力視されている。そうであるなら、とんだ近所迷惑である その厄介ものを、アイデアと技術を駆使して商品にし、いずれは本場中国でのビジネスももくろむ。海を汚すな、とけんか腰で相手と渡り合うより、数段痛快な話である。
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