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【マンホール増水事故】「ふたをあけてくれ…」死亡の浜田さん
東京都豊島区雑司が谷の下水道工事現場で、下水道内にいた作業員5人が大雨による増水で流された事故で、死亡した橘技建工業の浜田彰さん(29)=埼玉県草加市=が流される直前に、地上と下水道を結ぶ壁につけられているはしごをつかみ、地上にいた竹中土木の社員に「マンホールのふたをあけてくれ」と助けを求めていたことが7日、都の調べで分かった。浜田さんは、救助要請を受けて地上から投げ込まれた縄ばしごをつかみ損ねて流され、死亡したとみられる。
竹中土木を聴取した都によると、浜田さんら作業員6人は5日、マンホールから下水道へ降り、その地点から下流に65メートルの地点で作業を実施。作業現場から18メートル下流には別のマンホールがあった。下流側のマンホールは交通量の多い交差点上にあったため、ふたはしまっている状態だった。
そんな中、地上にいた同社社員が午前11時50分ごろ、雨が強まったことに気がつき、下流側のマンホールのふたをあけて、大声で作業員らに退避を指示。指示を受けた浜田さんらは当初、上流側のマンホールに向かって退避を開始したが、上流からの雨水の増水により避難が難しくなったため、下流側のマンホールへと方向を転換して、退避しようとした。
指示から約10分後、浜田さんは、身体が流されないように、ふたの閉まっている下流側のマンホールの壁につけてあるはしごをつかみながら「ふたを開けてくれ」と地上にいる関係者に救助を要請。浜田さんの声を聞いた同社社員がマンホールのふたをあけ、縄ばしごを垂らしたが、浜田さんはつかみ損ねて、そのまま下流へと流されたという。
これを目撃した同社社員は地上にいた関係者ら3人に対し、さらに下流のマンホール数カ所を開けるよう指示し、縄ばしごを垂らした。このうち、1人が自力で地上に脱出したが、浜田さんら5人は流された。
都では引き続き、請負業者側の安全管理などについて調査を進めている。