「平和」という都合のいい言葉

被害者には何の反省もないのか

昿野 洋一(2008-08-07 23:00)
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 広島で最大のイベント、63回目の「原爆の日」を迎えた。この日に広島では「核兵器廃絶」「戦争のない平和」という言葉が飛び交い、被爆者追悼の「1年」が終わる。これが広島にとっての終戦記念日なのかもしれない。

 8月9日には長崎も「原爆の日」を迎えるが、広島に住んでいる記者(=昿野)からみると、広島では被爆者など一部の人を除いて、あまり関心がないように思う。

 ところで広島は被害者なのだろうか?

 広島は戦時中は「軍都」と言われ、戦争に武器や人材を提供していた。それらで多くの人の命を奪った。それなのに1発の原子爆弾で「罪のない民間人」が殺されたと言い、途端に被害者になった。

 被害者には何の反省もない。だから「自分たちは変わらなくていい。世界が変わらなければならない」という理屈で世界にアピールしている。

 果たしてこれで世界の人が共感するだろうか?

 核兵器廃絶を訴える前に、1発の銃弾で亡くなった人のことや残された家族の気持ちを考え、その悲劇をなくすことを考えなければいけないのではないだろうか?

 戦争は平和にするための手段のひとつであって、平和にするための戦争もある。

 戦争をせずに平和にすることができればいいが、平和という言葉は抽象的で、一人ひとり、平和のイメージが違う。これを統一することは不可能なのは歴史が証明している。

 例えば江戸時代は「天下太平」と言われていたが、身分差別があり、虐げられ、無実の罪で殺された人たちの犠牲でうわべだけの平和が保たれていた。明治維新後、それは変わった。

 平和を訴える人はどんな世界が平和なのか具体的に示すべきで、それができないのは本当の平和を知らないと言わざるをえない。

 日本は戦争に負けた国だ。このことを直視し反省しない限り、平和を訴え、実現する能力を世界は認めないだろう。

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