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B-CAS社の罪は「退場」では消えない

B-CAS社の浦崎宏社長が、メディアに初めてカミングアウトし、「不要と言われれば退く覚悟はできている」と語った。さすがに危険が身に迫っていることを察知したのだろう。しかしB-CAS社は不要であるばかりはなく、違法なのだ。何の法的根拠もなく民間企業が電機メーカーを「審査」し、外資系メーカーを排除し、PCボードの製造を妨害し、おまけに出荷停止処分までやるのは、明白な独禁法違反である。

それはNHK経済部の記者として経済犯罪を取材した浦崎氏が、一番よく知っているはずだ。だから「B-CASが不要となった際,いつでも会社をたためる」という言葉も出てくるのだろうが、会社をたたむだけで違法行為は帳消しにはならない。これまで3000万台ものデジタルTVに違法なカードを義務づけることによって上げた数百億円の売り上げは、返還すべきだ。そして独禁法違反と判断されれば、課徴金や懲役刑も待っている。

さらに問題なのは、このように犯罪的な企業を、公共放送であるNHKが筆頭株主として設立し、ARIBの技術基準なども策定してきたという事実だ。もとはBS視聴者から確実に受信料を取りたいというのが動機だったらしいが、「あまねくすべての人々に放送する」ことを使命とするNHKが、特定の機材(B-CAS)がないと見えないように「干渉」することは放送法違反(第9条9項)である。

この矛盾に気づかないまま百億円以上の投資をしてしまい、それを回収するために無関係な地デジにもB-CASカードを義務づけ、その理由づけのためにコピーワンスをつける・・・という行き当たりばったりの方針を公的な議論もなしに一部の業者で結託して決め、視聴者を混乱に陥れてきたNHKの罪が、退場ぐらいで消えると思ったら大きな間違いである。B-CAS社はただちに解散し、これまでの売り上げをすべて視聴者に返還し、NHKの福地会長が視聴者に対して謝罪すべきだ。

この問題の根底にあるのは、テレビ局が政治家をバックにして電波利権を独占し、視聴者や電機メーカーを支配する構造だ。しかしインターネットによって、この構造はすでに崩れてしまった。民放連127社のうち、今年3月期決算で23局が赤字になり、ついにキー局(テレビ東京)まで赤字に転落した。こうした衰退産業が電波を浪費して独占を守ろうとするのは、かつて映画業界がテレビを排除するために五社協定というカルテルを組んで自滅したのと同じだ。B-CASに代表されるテレビ局のrent-seekingは、目先の利益を守っているつもりで、実は集団自殺なのである。
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