ホームレス患者で診療報酬を不正請求、米病院経営者逮捕

ロサンゼルス（ＡＰ）　米連邦捜査局（ＦＢＩ）は６日までに、ホームレス多数を患者として入院させ、多額の診療報酬をだまし取っていたとして、ロサンゼルスの病院経営者を逮捕・起訴した。

訴追されたのはロサンゼルスにあるシティ・オブ・エンゼルス病院の最高責任者（ＣＥＯ）ルドラ・サバラトナム被告と、スキッドロウ検診センター長のエスティル・ミッツ被告。医療詐欺や患者紹介料授受など２１件の罪に問われている。ＦＢＩは同病院を含む３病院を捜索し、ロサンゼルス市は病院経営者を提訴した。

調べによると、サバラトナム被告らは共謀して路上生活者の多いスキッドロウでホームレスをリクルートし、疲労、脱水症状といった軽度な症状を治療。必要もないのに入院させて、高齢者向け医療保険のメディケアとカリフォルニア州の医療保険制度に基づき多額の診療報酬を請求していた。

架空請求はホームレス患者数百人から数千人分に上るとみられる。スキッドロウでは労働者が病院側から報酬を受け取って毎月３０人から５０人をリクルート、ミッツ容疑者の検診センターで検診を受けさせ、患者として病院に送り込んでいた。

中には麻薬中毒者や精神疾患を持つホームレスもいた。「リクルートＸ」と呼ばれる精神疾患のある女性は、呼吸困難や胸の痛みなどの症状で入院したことになっているが、本人によるとそのような症状はなかった。

この女性は「退院」後にスキッドロウに戻り、病院から受け取った金でコカインを買っていたが、病院ではコカイン中毒の治療は受けなかったという。

この事件は、病院がホームレス患者を路上に置き去りにしているとの通報を受け、２００６年にロサンゼルス警察が捜査を開始した。有罪判決を受けた場合、サバラトナム被告は最高で禁固５０年、ミッツ被告は１４０年の実刑を言い渡される可能性がある。