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【スポーツ】

在日韓国人Jリーガー・李選手 今夜、五輪米国戦に

2008年8月7日 14時39分

ゴールに向かってドリブルする李忠成選手=6月12日、国立競技場にて(サッカーU−23 日本−カメルーンより)

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 【北京=鬼木洋一】在日韓国人4世として生まれ育ち、日本国籍を取得した男子サッカー日本代表FWの李忠成選手(22)=柏レイソル=が、7日夜の米国戦に臨む。「サッカーでみんなに認められたい」と日本人として生きることを選んだストライカー。五輪で、その一歩を踏み出す。

 東京都保谷市(現・西東京市)で生まれ、社会人サッカーの選手だった父鉄泰さん(49)に、ドリブルやシュートを教えられた。

 FC東京でプロ入りした2004年、19歳以下の韓国代表候補に選ばれ、10日間の合宿に参加。だが、それが日本人になる転機にもなった。

 メンバーに残れなかったからだけではない。韓国籍なのに言葉は小学生並みで意思疎通が図れない。遠征から日本に帰ると、ほっとする自分。パワーを押し出すプレースタイルにも戸惑い、鉄泰さんにつぶやいた。「日本で生まれ育ったんだから、日本のサッカーがいい」

 在日がゆえに、人知れぬ悔しさを味わってきた。プロの世界でさえ「同じ実力なら日本人を使え」との声が聞こえてくる。「他の選手より、人一倍頑張って結果を出さないといけない」と思った。

 どん欲にゴールを追い求めた。そこに五輪日本代表への誘い。サッカーという舞台で自分を表現するために、国籍を変えることに迷いはなかった。

 ひとつだけ、こだわったことがある。それが名前だった。07年2月に日本国籍が認められた。家族が使っていた通称「大山」でなく、本名の「李」を選んだ。「本名を出したくても出せない在日の人はまだ多い。李の名前で活躍すれば、そんな人たちに勇気を与えられると思う」

 鉄泰さんは「息子さんが日本のために点を取ればきっと、在日社会や韓国のためにもなる」と励ましてくれた在日韓国大使館員の言葉が忘れられない。

 生まれ育った日本のために。そして、応援してくれる在日社会のために、李選手はピッチに立つ。

(中日新聞)

 

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