HOME>採用情報>JAL採用情報>JAL's People>ON and OFF パイロット>767運航乗員部 副操縦士 赤澤 堅二
幼い頃、「大阪航空少年団」というボーイスカウトのようなボランティア団体に所属していました。そこでは、さまざまな活動を通して航空・宇宙について学ぶことができます。その団体のリーダーを務めていたのがパイロットの方々でした。何百トンもある大きな機体が、自分の操作に寸分の遅れも無く反応してくれること。その大きな金属の塊のような機体を嵐の日や濃霧の日でもスムーズに着陸させた時の達成感。そしてそういう技術を皆で競いながら、助け合いながら身に付けていく充実感など、パイロットの方々は目を輝かせながら話をしてくれました。また、上空10000メートルから見ることのできる澄んだ空の色や、動く地図を見ているような地上の景色の話、地球の自転速度を飛行機の速度が追い越すと、日没後の太陽が西から上がってくる話、ミルキーウエイの由来の如く夜空に輝く満天の星空の話など、パイロットだからこそ体験できたことをたくさん聞きました。そういった話を聞くうちに、いつか自分もパイロットになりたいと思ったのです。また、高校生のとき、旅客機のシミュレーターを操縦させてもらったことが、「パイロットになりたい」という思いをさらに強くしました。 就職活動ではパイロットが第一志望でしたが、合格するという保証はないため、メーカーや商社なども受けました。JALの自社養成パイロットの試験に合格したときは、憧れが現実のものとなり、本当に嬉しかったです。飛行機に興味がある、またパイロットになりたいと思ったことが一度でもあるなら、是非チャレンジして欲しいと思います。
入社後9ヶ月間は羽田空港でカウンター業務などの旅客業務を経験しました。その後、座学による訓練を8ヶ月。航空力学、気象などを学び、学科試験を受け、必要な国家資格を取得しました。 次にカリフォルニア州ナパで、単発機や双発機など実機を使った訓練を約20ヶ月。最終的に審査に合格して、事業用操縦士、陸上多発機の技能証明と計器飛行証明を取得しました。その後、日本に戻ってきてボーイング767型機を操縦するための訓練を開始。座学とシミュレーターによる訓練を8ヶ月、下地島での実機訓練を1ヶ月行い、同機の型式限定のライセンスを取得。そして、実際の定期便に乗り、OJTを7ヶ月行った後、2003年9月より副操縦士として乗務を開始しました。現在まで約4年間、ボーイング767型機に乗務しています。 訓練は長かったです。そして充実していました。日々の飛行訓練を終えると教官のデブリーフィングを受けます。その日の課題のどこがうまくいかなかったのか、なぜうまくいかなかったのか、どうしたらいいのかを自己分析し、その上で教官のアドバイスを受けます。 飛行訓練で習得する技術を「車の車庫入れ」に置き換えて説明しますと、先ずは、車の性能と車庫の大きさを元に、バックする速度とハンドルを切る量、タイミングなどを作図などして事前に予想を立てます。そして実際に自動車に乗り込んで自分の計算した数字に当てはめながら車庫に入れてみるのですが、中々一回で車庫のど真ん中に止めることができません。ハンドルを切り始めるタイミングが遅いのか、バックする速度が速すぎるのか、ハンドルを切る量が少ないのか。自分で考えて幾度か試みてもうまくいかない。自分の考えを教官に表明することで、考えの足らない部分についてアドバイスをもらいます。もっと目線を遠くにしたらどうか。アクセルはもっとゆっくり踏み込んでいったらどうか。片手でハンドルを握るのではなく、両手で持ってみたらどうか。座席の位置が悪いのでは。リクライニングを倒し過ぎなのでは。等々経験の浅い訓練生では思いもつかないようなアドバイスを受けます。そしてその夜、同期一同が集まって、その日うまくいかなかった事、うまくいった事を話し合います。教官からのアドバイスも皆で分かち合います。そうすることで一人一人の経験が同期全員の経験になり、同期全員の経験が自分の経験となっていくのです。同期で話し込むうちに、そもそも車庫の大きさの計り方が間違っていたとか、バックミラーの効果的な使い方にコツがあったとか、ハンドルは30度手前で戻し始めるのではなく、45度手前からゆっくりともどした方がうまくいく。とか、さまざまなヒント、うまくやるコツが見つかることもあります。 飛行機は3次元の世界を早い速度で移動しますし、空中で止まることができません。車庫入れのような技術が何百とあり、それらを一つずつ身に付けていくのが訓練です。しかし時間が無限に与えられているわけではなく、試験までの期間でどうしてもうまくいかない技術が残ってしまい、合格点がもらえないこともあります。そんな時、同期の皆が彼らの勉強する時間を割いてでも、自分のためにうまくいく方法を探りだす努力をしてくれます。その中で励ましあい、甘さを指摘し合うこともあります。お互いにそうやって訓練を乗り切る事ができたのが、自分を大きくし、同期の強い絆と皆の自信となっています。
なかなか自分の思った通りにフライトができることはありません。特に天候は刻々と変化するため、臨機応変に対応する必要があります。たとえば、気流により機体が揺れそうだなと思ったら、それを避けるために高度やルートを変更しますが、その際、速度や燃料、到着時間などさまざまな要素が絡んできます。そうした複雑な要素を考慮しながら、自分の経験と判断力を活かし、可能な限りベストな選択ができるよう努力しています。 もう1つはしっかりとコミュニケーションをとることです。自分に意見があれば、機長に「自分はこう思います」と提案するのですが、その際にもわかりやすい表現、言葉遣いを心掛けています。また、客室乗務員や地上スタッフの方々とも十分にコミュニケーションをとり、円滑にフライトができるよう努めています。
大きな旅客機に大切なお客さまを乗せて自分の手で操縦すること。その達成感、充実感は言葉で言い表せないほど大きいものです。私は生まれ変わっても、またパイロットになりたいと思います。 航空機を取り巻く環境は日々変化し、進歩しています。パイロットは免許を取ればそれで終わりでなく、システム、航空法などさまざまな勉強を積み重ねなければなりません。私は学生時代、勉強があまり好きではなかったのですが、パイロットになってからは積極的に勉強するようになりました。それは勉強したことを必ずフライトに活かすことができるからです。努力が報われるというのもパイロットという仕事の魅力だと思います。 また、フライト後にお客さまから「今日の着陸は良かったね」などと声をかけられたときや、上昇中、雲から抜けて視界に青空が広がっていくコックピットならではの風景が見られたときなどに、この仕事を選んでよかったと感じます。
まずは、副操縦士として乗務することに日々精進し、機長昇格試験に合格することです。 私には尊敬する機長が何人かいますが、その方々に共通しているのは、心・技・体のすべてに優れ、コミュニケーション能力と協調性を備えているということです。自分もそうした心・技・体・コミュニケーション能力に優れた機長を目指して努力を続け、「あの人と一緒に飛べてよかった」と言われるような、そんな機長になりたいと思います。
スポーツや趣味などに没頭して、とにかく遊ぶ。ジムに行って汗を流したり、友達とお酒を飲みにいったりします。
小型船舶免許を取り、時間があるときはヨットで海に出ています。また、近所のアトリエに行って絵(デッサン)を描いています。絵を描いていると頭の中がからっぽになって、リラックスできます。
今年アラスカにキングサーモンを釣りに行ったのですが、あと少しのところで釣れませんでした。もう一度アラスカに行ってサーモン釣りに挑戦したいです。また2週間ほど休暇をとって、ヨットで瀬戸内海をゆっくりと回りたい。