昨日の真夜中、まだレコーディング・スタジオで長谷川きよしさんのライヴ・レコーディングのトラックダウン真っ最中に、ノートパソコンでこのウェブサイトを見たら、まだ更新されていなくて、ちょっとビックリ。この文章の真上の、毎日変わるスローガンだけはしっかり更新されていたので、ははあ、前園デザイン室はまだ日付が変わっていないんだな、と想像しました。
いま出ました、と電話で応えてから作り始める蕎麦屋の出前、とか。締め切りが来てから書き始める原稿書きの人、とか。世の中には、展覧会終了後に出来上がってきたポスターとか、イヴェントの当日出来上がってくるフライヤーとか、ありますからね。発売予定日の2週間前に完成したミックスCDというのも知っています。アレは宣伝のしようもなかったでしょうね。担当したディレクターの方は、いまはたしかレコード会社をお辞めになったはず。
発売3週間前に制作がスタートしたアルバム、というのに参加したこともあります。このときは収録曲10曲、すべて違うアレンジャー、違うエンジニアで、都内数か所のスタジオを使って、よーいドン、で始まりました。主役のアーティストは日本でいちばん売れっ子ばかりの人気グループ。5人がいっぺんに揃うなんてことはめったにないから、歌入れもバラバラ。
その上、アルバム発売の週末からは全国のドームツアーが始まる、というスケジュール。ちょうどぼくの曲のトランペットをダビングしてくれたミュージシャンの方は、彼等のツアーにもブッキングされていて、おりしもぼくのダビングの日は、その後ろのスケジュールはツアー・バンドのリハーサル。
「で、行ってみたら、その日、コニシさんと録音した曲のスコアがあったんですよ」って、後日教えてくれましたが、いったいどーなってたの? とはいえ、このアルバム、3週間後には発売されて、ドームツアーも観に行きましたっけ。日本の文化を作っているのは締め切りだ、という意見を聞いたことがありますが、まったくその通り。日本人はアクセクしてナンボ、なのですかねえ。
夏休み特別企画の「レコード手帖。」だいぶ前から準備してはいたのですけれどもね。7月の最後の週末からスタート、というのを8月1日に延期したり。まあ、毎日更新されているだけでもアリガタイことですが。あるレコードショップのご主人は週に一日か二日、サイトの更新をしない日を設けている、とのこと。そういう日のほうが案外売れる、とか、仰ってました。全然更新されないから、つい毎日見に行く、ってサイトもあることはありますけど。まあ、ここから先はエンタテインメント論、ですね。
それにしてもアンケート回答、みんな面白い意見ばかりですが、こんなに誰もが「音楽好き」っていうのにも、あらためて驚いてしまいますね。60年安保、とか、68年とか、「政治の季節」に誰もが「資本論」とか読んだり、読んだフリをしたり、読んでいないことをあえて吹聴したり、という時代をちょっと思い出すような。つまり「音楽の季節」か。
音楽の季節が夏だとしたら、この夏は暑くて長過ぎますよね。やがて秋が来て、冬が来る。長谷川きよしさんのアルバムは秋を目指して、いよいよ来週マスタリングです。
今週金曜日は渋谷オルガンバーで「レコード番長」。前日に出来上がってくるフライヤーの件。では、更新。いま、何時?
(小西康陽)