事件・事故
河川の弱点重なる 神戸・都賀川4人死亡
河口付近から見た都賀川。急な増水で4人が流され亡くなった=神戸市灘区 |
神戸市灘区の都賀川(とががわ)で四人が死亡した水難事故で、二十八日午後に起きた川の十分間の水位上昇一・三四メートルは、六甲山系の南側の河川で最大だったことが分かった。局地的な豪雨が流域に降ったことに加え、ほかの河川と比べ延長が短く、急こう配で幅も狭いという河川自体の弱点が重なったためとみられる。都賀川は、護岸と川底をコンクリートで固める「三面張り」の構造で、堤防の崩壊を防ぐには効果的だが、流速が早くなり、川べりにいた人の避難時間は短くなってしまう結果となった。
事故は同日午後二時四十分ごろ発生。子どもら計十人が流され、大石保育園児友地こころちゃん(5つ)と叔母の無職妻鹿(つましか)愛美さん(29)ら四人が犠牲となった。
国土交通省六甲砂防事務所の観測では、事故現場近くの雨量は二十八日午後二時四十分からの二十分間で三〇ミリ。市内のほかの河川流域の中でも多かった。
兵庫県神戸土木事務所は「都賀川は一時間に八八ミリなら洪水にも耐えられる設計。しかし、今回は一時間に換算すると九〇ミリ。考えられない降り方だ」としている。
また都賀川は延長一・八キロで、同市東灘区の住吉川の三・六キロの半分。幅も住吉川の約十五-二十メートルに対し十-十五メートルしかなく、こう配も急だ。洪水時の流速は秒速八メートルで一般的な河川の同二-四メートルに比べて速い。
一方、阪神・淡路大震災直後、河川敷への階段が設置されていた都賀川の水は、消火や生活用水に使われた。こうした経緯から、兵庫県は一九九六年以降、「防災ふれあい河川」のモデル河川に都賀川を位置づけ、水辺の遊歩道などを積極的に整備してきた。
しかし、県と神戸市が親水施設を整備する際、「どの程度の降雨でどれだけ水位が上がるか」などの具体的な想定はしていなかった。対策は、河川敷に下りる階段など計十七カ所に降雨による増水の危険を知らせる看板を設置するにとどまり、安全確保は利用者に委ねられているのが実情だった。
この事故を受け、神戸市は、河川増水の危険情報について、早めに防災無線で水防団などに流すことを検討している。
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(7/29 14:45)
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