私の勤めている病院にもときどきあるのですが,受診を検討中の患者さんやご家族から
「○○○病の専門家に診てほしいのですが,そういう先生いますか?」
という電話をいただくことがあります。
そして,○○○のところは,うつ病や統合失調症ではなくて,たとえばPTSDであったり多重人格(診断基準には採用されていない呼称ですね…)であったり,あまり典型的ではない精神疾患の診断名のことが多かったりします。
もちろん,ほとんどの場合うちの病院にはそういう診断名の治療の専門家がいるわけではないので,「いません」とお伝えしてお詫びすることになるのですが。
東京とか大阪とかの大都会ではわからないけれど,少なくとも地方の精神科医はそこまで専門性が細分化されているわけではないのです。
逆に言うと,私たち地方の精神科医はあらゆる疾患に対応できなくてはいけない,ということになりますが。
(ちょっと脱線すると,この話って医師全体のスペシャリストvsジェネラリストの議論に通じるものがありますね…。)
ところで,こうしたお問い合わせをいただいたとき,「今はその診断をしてくださった先生のところへ通ってらっしゃるんですよね?」みたいなことをお尋ねすると,
「いや,まだどこにもかかってないけど,自分で○○○だと思うんです」
「友達に『お前は○○○だから治療受けろよ』って言われたから…」
なんてお返事が返ってくることも少なくなかったりして。
…えっ,まさか自己診断ですか!?
とにかく,とりあえず一度きちんと精神科医に診断の見立てをしてもらうほうがよいと思います。
そのうえで,その先生が「自分で対応できます」と言ってくだされば問題ないし,「自分では治療できないので,この診断の状態に詳しい先生をご紹介します」と言ってくださればその指示に従えばいいし。
治療の始まるときから選択の幅を狭めたりしないで,まずは「相性が合えばここなら続けて通えそう」と思える精神科医のところを一度訪れてみることをオススメします。
もちろん相性はとっても大事ですが,それが合うかどうかさえとりあえず一度会って話してみないとわからないわけで。
よい治療者と巡り会えるといいですね!

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