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厳戒北京、警備に140万人 出稼ぎ者100万人は帰郷(1/4ページ)

2008年8月4日3時1分

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写真四川大地震のため延期されていた聖火リレーが、四川省広安市のトウ小平(トウは登におおざと)生家陳列館前をスタートした。第1走者は大地震の救援活動で「英雄模範」となった蒋敏さん=3日午前、樫山晃生撮影

 五輪開幕を前に、北京の人口が100万人規模で入れ替わった。

 「お前、まだいたのか。とっとと田舎に帰れ」。四川省巴中から来た葛力さん(45)が住む3畳余りの地下室に男性の甲高い声が響いた。

 毎朝、嫌がらせのように警察官がやって来る。北京に来て4年。妻と塗装や清掃の日雇いをして月3千元(約4万5千円)を稼ぎ、高校生の長男と中学生の長女の学費を工面してきた。しかし、四川大地震で実家は倒壊。こらえきれず言い返した。「いったいどこに帰れって言うんだ」

 北京五輪のメーン会場から南東に8キロ。高層マンションに囲まれたスラム街に葛さんの家がある。道ばたでは男たちが上半身裸でマージャンを打ち、露天商が中古家電を売っていた。

 ところが7月20日。住民が消えた。葛さんの地下室入り口は閉じられたままだ。五輪を直前に控え、建設工事が止まって働き口がなくなったうえ、警察による身分証明書検査が厳しくなった。北京市政府は「五輪期間中に出稼ぎ労働者を強制帰還させることはない」としていたが、約100万人いたとされる出稼ぎ者のほとんどが帰郷した。「社会に不満を持ち身元確認がしづらい出稼ぎ者を排除することで真の安全が確保できる」と公安関係者は説明する。

 入れ替わるように各地から北京に動員されたのは警察が120万人、軍が20万人以上。人口約1500万人の1割に匹敵する。デパートや地下鉄の駅には私服警官を重点的に配備した。「中心部は5人に1人が治安関係者という人海戦術で首都を防衛する」(公安関係者)。7月下旬からは24時間の警備が始まった。大通りでは自動小銃を持った治安部隊が立つ。

 馬振川・北京市公安局長が「五輪史上最大規模」と呼ぶ警備態勢がとられるきっかけは一つの報告だった。

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