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2008年07月19日

review:帆苅祥太郎「Behind the Sun」《7/4、7/12》

帆苅祥太郎「Behind the Sun」
CASHI゜
東京都中央区日本橋馬喰町2-5-18-1F
7/4(金)〜7/26(土)日月祝休
11:00〜19:00
帆苅祥太郎0870704.jpg

Shitaro Hokari "Behind the Sun"
CASHI゜
2-5-18-1F,Nihonbashi-bakurocho,Chuo-ku,Tokyo
7/4(Fri)-7/26(Sat) closed on Sunday,Monday and national holiday
11:00-19:00
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この時点での集大成にして、出発点。



新しくオープンしたCASHI゜のこけら落としのグループショーに続いて開催されている、帆苅祥太郎さんの個展です。

まず、奥から。
奥まったスペースには、蝋を用いた人物像が展示されています。
台の上に膝を折ってしゃがむ、人の姿。
顔に当てられる左手が、どこか泣いているような仕草を思わせます。
しかし、垂れる蝋の痕跡が生々しく残った表面の強烈さ、深く窪んだ眼球部など、 静かに佇むその像の全体からアバンギャルドな空気が放たれ、充満しているような印象を受けます。


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手前のスペース、壁面に展示された小さなオブジェも謎めいています。


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何かの塊、それも生命的なイメージよりむしろ素材的に有機物としての存在感が伝わってくるのですが、さまざまな角度から眺めていると、全体を覆う溶けるようなフォルムのなかに鳩か何かの鳥の姿が浮かび上がってきます。
ダークな色調、アバンギャルドな全体の存在感、そこに潜むちいさな生命のシルエット。このギャップが生み出す展開は、小さな3次元のなかにさまざまな時間の交錯を思い起こさせてくれて、たいへん興味深いです。


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そして、犬のオブジェ。
現時点での帆苅さんの台名詞的な作風。
一段奥まったスペースに、そこへ向かう人を威嚇するような姿で置かれる犬の、未来的な雰囲気を放ちながら 凛々しくこちらへと向ける肢体の美しさにしびれます。


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そして、101 TOKYO CONTEMPORARYにも出品された巨大な犬のオブジェも再登場。
その荘厳ささえ滲ませる姿は、ただただ圧巻です。
ぐっと深く曲がり込んだ頭部の力強さ、いうまでもなく全体を覆うなめらかな曲面とそのスマートさが醸し出すシャープな雰囲気。
この巨大な犬の像をさまざまな角度で眺められる楽しさ、それぞれの視点から届くシルエットの圧倒的な存在感。あっさりと空間を支配してしまう圧巻の出で立ちに、さまざまな角度からイマジネーションを刺激してくれます。


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制作順としては、FRP素材の犬のオブジェなどがあって、最近作は奥の蝋を用いた作品のようです。
黒、という色調の統一感と、表面が一方は究極的にシャープに仕上げられ、もう一方は垂れる蝋の質感をそのまま妖しさ、危うさのイメージへと転化させた感触であることのギャップも印象に残ります。

白い空間に浮かぶ黒い太陽は日蝕を連想させます。
その黒い太陽のシルエットが、さらにこの空間に展示された作品群のかかわりをより強固なものへと押し上げているようにも思えてきます。

これまで積み上げてきた経験と想像をいちばんダイナミックなかたちで提示し、同時に今回初めて挑戦された新たなアプローチが奏でる可能性とが共存している展覧会です。
伸びやかな感性を活かしたダイナミックなアプローチがこれからどういうふうに展開、発展していくか、たいへん興味深く感じられます。


帆苅祥太郎014
posted by makuuchi at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | review | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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