猫を償うに猫をもってせよ

2008-08-05 下井守教授に拉致されかける

 あまりの暑さに長らく行けずにいた駒場へ今日は行ってきた。図書館を出て煙草を吸いながら歩いていると、自転車に乗った老人が近づいてきて、「タバコは…」などと言う。どうやら教授らしいので訊いてみたら、化学の下井守という教授だ。

 あとはだいたいいつもと同じ議論で、下井教授は「大学で、歩行喫煙は禁止されている。ルールである」と言う。「法律で決まっている」などと言うから、何ていう法律ですか、と問うと、憮然として「それだけ煙草のことを言うなら知ってるでしょ」と言うのみである。もちろん、屋外を禁煙にしろなどという法律はない。しかも当然夏休みだから、人はまばらである。しかし下井教授は、屋外を禁煙にするのも分煙だと言い張る。決まったことなら決まったことで、私はそれに異議があるわけだから、「それなら私をクビにしてください」と言う。下井教授は、じゃあ学部長室へ行って話しましょう、などと私を拉致しようとする。別に学部長と話したっていいのだが、どうせ室は禁煙だろうし、禁煙のところで議論などできないから断った。なお学部長・小島憲道は下井教授と共編の本を出している。

 途中でいっぺん、私が、どうせ埒があくまいと思って立ち去りかけたら、「待ちなさいよ。そんな、ルールを守らない人が・・・」と言うから議論を続けたのだが、「とにかくその煙草を消しなさい」「やです」「あなたは」と訊くから、「非常勤講師の小谷野です」と言うと、「小谷野・・・敦さん」って、知っているようだ。知っているなら話は早い。途中で下井教授は「最低だな」などと呟いたが、教授が非常勤講師にそんなことを言うのは立派なパワーハラスメントである。だいたい私は教授会などに出ていないのだから、大学が決めたことに従えというのは、選挙権のない国民に法を押し付ける制限選挙とか徳川時代と同じなのだ。

 私はいつものごとく、なんで車が入ってくるのはいいのか、と問うたのだが、なぜか下井教授は答えなかった。あとで調べたらこの教授、環境問題の委員会に出てこんなことを言っている。

http://high-school.c.u-tokyo.ac.jp/naoshima/index.html

 それなのに、なぜ「そう、自動車だって大問題です」と答えなかったのだろうか。今はやりの「偽善エコロジスト」か? 環境問題に異論も出ている、と書いているのに、全面禁煙に異論が出ているのは何とも思わないのだろうか。

 仮にも国立大学法人であるから、このような喫煙者いじめの規制は人権侵害に該当する。私が最後にそう言ったら、下井教授は、

 「人権が出るんですか」

 と、いかにも不断そんなことは考えたことがないという理系学者らしい口調で絶句し、私は煙草を吸いながら立ち去った。

 ほれ、駅員や警備員など弱い者ばかり怒鳴りつけているとか言っている奴ら、今日は教授とやりあって来たぞ。

 実に理系の学者というのは往々にして愚かである。

 ところで千代田区あたりで課金されたら訴訟を起こすという計画が、実は困難であることが分かった。というのは、当然私は「金は払わん」と言う。ただし名刺は渡すから、家まで来るかもしれんが、それでも当然払わん。もし払ったら、その自発性によって相手方の責任を追及するのは難しくなる。かといって払わなければ、損害がないから訴えられない。