読売新聞 |
地域別の最低賃金(時給)を労使代表が議論する厚生労働相の諮問機関・中央最低賃金審議会の小委員会は5日、今年度の引き上げ額の目安を15〜7円とすることを決めた。
生活保護の水準まで最低賃金を引き上げることを目指した改正最低賃金法が7月に施行されたことを受け、生活保護の水準を下回る12都道府県については、目安を上回る引き上げを求めた。6日の同審議会で正式決定した後、各都道府県の審議会での議論を経て、10月中に新基準が適用される予定だ。
厚労省によると、生活保護との格差是正分も含め、平均で15円程度の引き上げとなり、全国平均の最低賃金が初めて700円台となる見通し。引き上げ額は9年ぶりの2けたアップとなった昨年度の平均14円を上回り、1993年度以来の高水準となる。原油高騰などが景気に悪影響を与える中、経営側が引き上げに難色を示していたが、非正社員の増加などで広がる格差問題への対応が必要という認識で労使がおおむね一致した。
引き上げ額の目安は例年通り、全都道府県を4ブロックに分けて示された。さらに今年度は、生活保護水準を下回る12都道府県について、生活保護と最低賃金の「乖離(かいり)額」が初めて提示された。乖離分は原則2年以内、最長5年程度で解消することを求めた。何年で解消するかは各都道府県の審議会に委ねる。
今年度の議論を巡っては、6月20日に開かれた政府の成長力底上げ戦略推進円卓会議で、5年かけて「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準」まで引き上げることで政労使が合意し、大幅引き上げが期待されていた。しかし、労働側が「時給50円の引き上げ」を求めたのに対し、経営側は「原油高などで、特に中小企業の経営が厳しい」と反発していた。
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