◎政府の経済政策 景気最優先へ舵を切る時期
福田改造内閣が物価上昇や景気減速に対処する狙いで取りまとめる経済対策は、消費税
増税を完全に封印し、経済運営の舵(かじ)を景気最優先に切り替える明確な意思表示であってほしい。
世界経済の失速が懸念され、各国がやっきとなって景気刺激策やインフレ対策を行って
いるにもかかわらず、日本政府の動きは鈍かった。景気対策どころか、いまだに消費税増税を口にする政府・与党関係者が多いのもその証左だろう。こうした不用意な発言が消費マインドを冷やし、景気の足を引っ張ってきたのである。経済も気になるが、財政再建も重要といった、どっちつかずの態度を改め、国民に筋の通った明確なメッセージを送ってほしい。
世界経済は、サブプライムローン問題と燃料・原材料高の影響で、景気のシグナルが既
に黄色から赤色に変わっている。ピークを迎えた日本の上場企業の中間決算を見ても、広い範囲で業績の悪化が目立っており、特に金融、自動車、機械、電機などこれまで好業績が伝えられていた業種の株価が軒並み大幅下落している。おそらく内閣府が十三日に発表する四―六月期の国内総生産(GDP)がマイナスに転落する可能性はかなり高いだろう。
経済情勢はとても増税などできる環境ではないのに、財政が苦しいという理由だけで、
消費税増税を安易に口にしてほしくない。今の時期に、企業の投資意欲や国民の消費マインドを削ぐ増税論は百害あって一利なしと思うからである。福田改造内閣は、財政再建派の顔ぶれが目立つ布陣だけに、特に外国人投資家は日本市場を警戒の目で見ているはずだ。
景気をこれ以上悪化させないために今こそ、景気最優先の経済政策を打ち出さねばなら
ない。ばらまき型の財政運営に陥らぬよう配慮したうえで、燃油高騰に苦しむ漁業者や運輸業者などの負担軽減策も一定程度必要だろう。同時に政府・与党がきっぱりと消費税引き上げを否定し、安易な増税論をやめさせることも重要だ。失速寸前の景気を立て直さないと、歳入不足で国家財政はますます苦しくなってしまう。
◎「親が外国人」増える 混血社会に早めの対応を
日本が「多民族多文化」の社会に向かっていることを裏付ける厚生労働省の調査が出た
。かなりの速さで確実に進んでいるとの認識を持って早めに対応する必要があるようだ。
第一に、二〇〇六年に日本国内で生まれた赤ちゃん約百十万のうち、親の一方が外国籍
の子が三万五千六百五十一人で、全体の3・2%、ほぼ三十人に一人の割合と分かった。フィリピン人とタイ人の母親の場合、夫が日本人である割合がそれぞれ80%、79%と際立って高い。
第二に、同年に国内で結婚し、婚姻届を出したカップルのうち、一人または両方が外国
人の組み合わせは6・6%で、約十五組に一組の割合となっており、夫が日本人、妻が外国人という組み合わせが圧倒的に多い。
いずれの数字も過去十年で最高だった。総じて混血が進んでいることが分かる。
親の一方が外国籍の赤ちゃんは石川、富山両県にもいる。その割合は石川県1・5%、
富山県3・1%である。また、カップルの一方が外国人という組み合わせの割合は石川県3・6%、富山県6・6%である。多民族多文化へ向かう時代の大きなうねりは両県にも及んでいるのだ。
第三に、これは先の調査とは別なのだが、日本の病院や介護施設で働くインドネシア人
看護師や介護福祉士の候補者が七日に来日するように、留学生の増加や研修生の制度とあいまって外国人が今後増加し、多民族多文化、あるいは混血を促進するだろう。
そうした傾向を一概に悪いとはいえない。が、文部科学省の調査で、公立の小中学校な
どに在籍しているが、日常生活や授業に支障があるため、日本語の指導が必要な外国人の児童生徒が増え、昨年九月時点で前年比13・4%増の二万五千四百十一人で過去最多と分かった。石川県では4・1%増の七十六人、富山県は9・4%増の三百二人である。
親の一方が外国人である場合、言葉の指導などが必要になる可能性がある。早めの対応
が必要なわけである。