二階堂奥歯 八本脚の蝶
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2001年12月4日(火)

母に頼まれたお直し物を取りに銀座のメゾン・エルメスへ。エルメスで売っていた馬用の鞭はいわゆる乗馬鞭とは違って、もっと棒っぽかった。

帰りに秋葉原のラジオ会館によって書店をぶらぶらしていたら、i-doloidのvol.3が出ていたので慌てて買う。
i-doloidとは、仮想愛玩用人造美人専門誌(……)。ラブドールとか3D美少女の雑誌で、イアン・ワトスンの『オルガスマシン』の短編版もvol.1には載っていたのだ。気になっていたのですが初めて現物を見ました。

しかし、ラブドールと荒木元太郎のフィギュアはわかるけど、3DCGというのは路線が違いすぎやしないでしょうか。
そしてフィギュアはなぜ荒木元太郎しかないの?
なんかあやふやな雑誌だ……。エロCGがいっぱい入っているらしいCD-ROMはいらないし……。ほんとにこれはいらないから1000円安くしてほしい。

おもしろかった記事1「遊べる医療器具〜人体モデル編〜」。だけど、このネタになってる医療模型カタログ持ってるし……。
おもしろかった記事2「等身大ラブドール変遷史」。でもこんなのネットでいくらでも見られるし……。
おもしろかった記事3「2031年ロボット・テクノロジーの性革命」。モノクロ2ページのこの記事だけがおもしろかった! 身体改変、人間のサイボーグ化、フェティッシュアートなどを軽く紹介してるだけだけど。

エロティックな造形物やフェティッシュアートなどなど(人間のオブジェ化としての身体改変含む)の雑誌ないかしら。
夜想(幻想的文学・美術雑誌)とBURST(ボディピアスやタトゥー・身体改変などが載った不良雑誌)とS.M.H(アート系模型・ジオラマ・フィギュア雑誌)とあかまつ(エロ文化雑誌)が混ざったような。季刊で、読みもの重視で。

2001年12月19日(水)

このところ忙しくてずっと睡眠不足。気がつくと目の下にクマができていた!
それに気がついた時思ったこと。

1.やった! これで(いままで遠巻きにしていただけで入り込めなかった)クマくすみ対応コスメの世界に身を投じることができる!
2.クマなんて、ショック……。

1が先にくるところがコスメフリークのフリークたる所以でしょう。
でも化粧品買いに行く暇なんてないの。
仕方がないからカタログを眺めて楽しんでいます。
どれがいいかなー。

2001年12月24日(月)

○○○にはイブなどない!
(○○○には適宜職業名を入れてください)。
というわけで会社に行き、帰りに閉店間際の池袋西武に滑り込む。
もちろん化粧品売り場が目当て。
……のはずだったのだが、偶然野又穫の展覧会が開かれていた!

野又穫エティエンヌ=ルイ・ブレの衣鉢を継ぐような、幾何学的で独特の質感を持つ幻想的な建築を描く人です。彼の描く巨大な建築は、人が住む実際の建物ではなくて、実物と同じ大きさに作られた建築模型のように見えます。
コンクリート(?)と鉄骨と硝子とプロペラと螺旋階段で作られ、吹き抜け構造を多用したその建築は、時に植物園のように内側に木々を茂らせているのです。

1998年の画集を見て以来、幻想建築派のわたくしとしては気になって気になって仕方がなかったのですが、画集を買いそびれている内に版元(トレヴィル)がなくなり、野又穫という名前も忘れてしまって探しようがなくて困っていたのです。

でも出会いってあるものです。うれしい。画集はすでにないけれどCD-ROMを買ったので早速デスクトップにしました。予想外のクリスマスプレゼントでした。

(今調べてみたら野又穫は『文學界』の表紙を描いているそうです。ああ、そうか。)

2001年12月26日(水)

荒巻義雄の『白壁の文字は夕日に映える』を探しているけど見つからない。
昼休みに某古書店に駆け込んで探したけれどやっぱり見つからなくて、とりあえずそこにあった『ある晴れた日のウイーンは森の中にたたずむ』を買いました。

私は図書館派なので読んではいるけど持っていない本がとても多い。買った本:借りた本=1:390くらいではないだろうか。
文庫、それもSFなんて、ある時に買わないと大変なのに……。
私が通っていた高校(女子校)はサンリオSF文庫が非常に充実していて、その恩恵をのほほんと享受していたのだけど、卒業したらもう読めない!

ちなみにそのサンリオSF文庫は数十年前(?)SF研の部長で図書委員長の人がいて、その人が入れたらしい。
私が入学した時にはSF研は衰退していて、SFではない同人誌を作る部になっていたので入部しませんでした。代わりに図書委員長になって、選書会をやる書店を大好きな書店員さんがいるところに変更したり、好きな本を入れまくったり、フェアを組んだり、他校(男子校)の図書委員と交流したりしました。

そういえば私の先代の図書委員長はSF研の部長で、ファンタジーが好きな人でした。トールキン好きで瞳が美しい人でした。(近眼だし)。
彼女はSF研の見学に行った初対面の私に対し上品に微笑みながらいきなりエルフ語で自分の名前を書いてくれたのでした。

あー、スターリングの『蝉の女王』も高校の時から読んでないよー!
『スキズマトリックス』はどこにでもあるのに!
スーパー源氏にも引っかからないし。ひっかかるところも実は在庫ないらしいし。

正月休みに地元に帰ったら高校に忍び込んじゃおうかな。
いやいやだめだ。
はるか昔の先輩が入れてくれたサンリオSF文庫が私に読まれたように、私が入れた本はきっとそれを読むべき人のところに届くはずだから。